黒田みのる
「死者のくに@」(1979年8月15日第1刷初版発行)
「死者のくにA」(1978年8月15日第1刷初版発行)
「死者のくにB」(1978年8月31日第1刷初版発行)


単行本@
・「第一章 かなしいの……」
 古田美鈴は中学一年生の少女。
 彼女は仲良しだったみどりが交通事故で急死したのを目の当たりにして、「寿命」について考え始める。
 人も動物も生きとし生けるものは皆、「寿命」があり、早い遅いの違いはあるも、いつかは死を迎える。
 だが、医者の父親は、死んでおしまいとは思えないと彼女に話す。
 人には「霊魂」というものがあるようなのだが…。
・「第二章 ひとりぼっちね…」
 みどりが事故死してから一ヶ月後、美鈴は授業中に居眠りしていた。
 教師が彼女を起こすと、寝ぼけた彼女は教室の入り口にもう一人の自分の姿を視る。
 もう一人の自分は急に胸を押さえるとしゃがみ込み、横たわると事切れていた。
 彼女の話を誰も本気になって聞いてはくれなかったが、女友達の一人は彼女の話に何か心当たりがある様子であった。
 美鈴が視たものとは…?
 放課後、彼女が帰宅すると、80歳の祖母の部屋から何やら話し声が聞こえる。
 美鈴が部屋の襖を開けると、寝たきりの祖母の前に見知らぬ少女が座っていた。
 少女はその場から姿を消し、肝を潰した美鈴は祖母に誰がいたのか尋ねる。
 祖母は「おむかえさん」がいたと答えるのだが…。
・「第三章 死んでゆくのね…」
 夏休みのある日、体調不良の美鈴は階段から転落し、それをきっかけに死んでしまう。
 彼女の霊魂は親戚や知人に別れの挨拶をした後、体のもとに戻ると、霊魂の緒が切れる。
 すると、彼女は暗いところに登り、気がつくと、海が広がっていた。
 沖の不気味な岩場地帯を抜けると、草原に出て、そこで指導霊と会う。
 彼女は指導霊の後についてどんどん進むが、彼女の向かう先には…。

単行本A
・「第一章 ツトムくん」
 ひろみは中学一年の八百屋の娘。
 朝、友人の洋子が牧野つとむという少年をつれて、ひろみの家にやって来る。
 つとむは転校生で、ひろみの家のことなど何も知らないはずだが、ひろみの姉、雪子が家にいないことを知っていた。
 また、学校では屋上の水槽タンクが壊れることを予見する。
 どうやら彼は「きけんなときだけ(何かが)みえる」らしい。
 ひろみが彼に朝のことを問いただすと、姉の雪子が海のそばの断崖にしょんぼり立っているのが視えたという。
 雪子はお見合いに失敗して、落胆し、昨夜から行方がわからないのだが…。
・「第二章 雪子ねえちゃん」
 姉は日高の親戚の家にいることが判明し、その家は海の近くであった。
 ひろみは日高の家に向かい、姉のいる場所へタクシーで連れて行ってもらう。
 断崖のそばに佇む姉にひろみは何故ここに来たのか尋ねるのだが…。
 その頃、つとむは心霊研究をしている父親から憑依霊について説明を受けていた。
 話の途中、彼の目の前にビジョンが広がるが、それには…?
・「第三章 ひろみちゃん」
 悪しき憑依霊によって、ひろみは命を奪われる。
 彼女の霊魂は肉体から抜け出て、カラフルな海の上を進む。
 彼女は人間の姿に戻り、暗い海を歩くが、中には海に沈んだり、別れ離れになる死者もいた。
 沈む死者の中にひろみの姉、雪子がおり、ひろみは助けようと手を伸ばす。
 しかし、ひろみは姉と一緒に底知れぬ深みに引きずり込まれ…。

単行本B
・「第一章 美鈴ちゃん」
 幽界にある家で美鈴とひろみは指導霊の下、執着を取る修行をする。
 とは言え、二人とも生きている時のことが忘れられず、いまだに家族と会いたいという欲求を捨てられない。
 ある日、彼女たちの仲間にジョージというハーフの少年が加わる。
 しかし、彼は自分が死んだことが理解できず、この場所にいるのに飽き飽きしていた。
 彼は他の霊のグループに行ってようと美鈴とひろみを誘い、三人は出かけるのだが…。
・「第二章 ひろみちゃん」
 あちこち行くうちに、三人は死んだ時に通った場所に迷い込む。
 戸惑う二人と違い、ジョージは生き返る希望を持ち、「死者のくに」の入り口を目指す。
 入り口で美鈴とひろみは彼と別れるが、ここでは指導霊の力が及ばず、二人は自力で幽界に戻らねばならない。
 とりあえず、二人は他の霊の進む方向へと向かうのだが…。
・「第三章 鬼」
 彼女たちは地獄へと墜ち、様々な地獄を目の当たりにする。
 それには彼女たちの守護霊のある考えがあった…。

 黒田みのる先生がジュニア向けに「死者のくに」について説いた霊界マンガです。
 この本に書かれてあることがどれほど真実に近いのか、死んでみないとわかりませんが、ライトな絵柄のために、死を扱っていながらもあまり深刻ぶらないところが一番の魅力でありましょう。
 ただし、地獄の描写は黒田みのる先生のキワモノな側面がもろに出て、悪趣味極まりなく、軽い少女マンガ的な部分との落差に海老反り必至です。(やっぱり、黒田みのる作品はこうでなくっちゃ!!)
 ぶっちゃけ、マンガとしての見所は地獄のシーンだけなんですけどね。
 ちなみに、この世に戻ったジョージはどうなったんでしょうか…?
 いろいろと釈然としない部分はありますが、心霊マンガの名作と言って過言ではないと思います。

・備考
 単行本AB、状態悪し。痛みだけでなく、後ろの袖、欠損。また、裏表紙に名前の書き込みあり。

2026年6月18日/7月1日・2日 ページ作成・執筆

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