黒田みのる
「死神天使@」(1983年2月6日第一刷発行)
「死神天使A」(1983年2月23日第一刷発行)
「死神天使B」(1983年4月5日第一刷発行)


単行本@
・「第一章 炎のお城から」
 戦国時代、ある城が敵に攻められ、落城。
 姫は、腰元二人と、顔に火傷の痕のある侍に助けられて、逃げる。
 だが、侍は突如、姫をさらい、山の中に姿を消す。
 彼は姫を気絶させ、誰にも見つからない穴の中に姫を隠す。
 そうして、彼は腰元達のもとに戻るのだが…。
 裏切り者はどちら…?
・「第二章 木の間から」
 雨が降り、姫は目覚める。
 しかし、身体が何故か動かない。(理由は不明…)
 助けを呼んでも誰も来ず、姫はどんどん衰弱する。
 死を意識する彼女の前に、亡くなった両親が現れる。
 二人は生きる事をあきらめないよう姫を諭すが、死神少年の出現で姿を消す。
 死神少年は姫に生をあきらめるよう唆し、遂に成功。
 だが、姫の前に、森の精霊が現れ…。
・「第三章 新しい街から」
 四百年後の1977年5月。
 姫の死んだ森は、住宅地として開発されつつあった。
 姫の霊魂は何もできず、その様子を眺めていたが、彼女を見た作業員達が次々と事故死する。
 それでも工事は続き、数年後、この地に多くの家が建てられる。
 ここはもう精霊が住むことはできず、姫は北の山に行くことを決意。
 その前に、もう一度、この地を見ておこうとすると、再び死神少年が現れる…。

単行本A
・「第一章 精霊のいない森」
 姫はピキという愛称の少女にその姿を見られてしまう。
 また、ピキの祖母も死神少年の姿を見て、気絶する。
 死神少年は姫が死神の仲間になったと話すが、彼女は納得しない。
 しかし、彼女が森に帰ると、そこにあった精霊界は既になく、置いてけぼりにされてしまう。
 彼女は死神少年と共に幽界へと向かうが、明るい方ではなく、暗い方に連れて行かれる。
 そこには、日本古来の死神(どう見ても、水木しげる先生風の妖怪…)が彼女を待ち構えていた…。
・「第二章 光のとどかない幽界」
 姫が死神達といる所に、ピキの祖母が現れる。
 姫はピキのことが心配になり、地上へ向かうと、ピキの家では祖母の葬式が行われていた。
 ピキは無事で、姫は一まず安心するが、ピキの眼に姫や死神少年は映らなくなっていた。
 死神少年はピキに自分達の姿を見させて、死なせると言うが、姫は彼の言動に疑問を抱く。
 何故、死神が精霊を怖がるのか?
 そして、死ぬ人を迎えに行くのではなく、何故、直接、手を下そうとするのか?
 彼女の不信は、死神達のボスである「白い光の神」にも向けられる…。
・「第三章 心のない死神たち」」
 ピキを死神少年から守るため、姫は彼女を見張る。
 ある日、ピキが友人の和子の家を訪ねた時、死神少年が姿を現す。
 死神少年は自分の姿を写真に写そうとするも、姫に阻止され、姫と死神少年は、花壇に住む花の精霊によって遠くに飛ばされる。
 気が付くと、夜で、姫は死神少年の後を追う。
 彼の向かった先は病院であった。
 そこには、死神の姿をかすかに視た和子が入院し、そばに母親が付き添っていた。
 死神少年は姫に仕事を手伝うよう命令するのだが…。

単行本B
・「第一章 死神の世界」
 和子は母親を亡くし、悲嘆に暮れる。
 それに追い打ちをかけるように、父親は、母親が丹精込めて作った花壇を破壊し、外国へ引っ越すと言う。
 これは、父親にとり憑いている霊の仕業らしい。
 死神少年は、憑依霊と取引して、死者の魂を手に入れると話す。
 姫は死神達に自分が抱いている疑問をぶつけると、神の命令に背くと、消されてしまうからと答える。
 死神達が姫をムリヤリ仲間にしようとした時、天から「金色の光」が降り注いでくる。
 この光を浴びると、姫の霊体は光に向かって上がって行き…。
・「第二章 生きてる人の世界」
 再び地上に戻った姫。
 和子の父親は仕事の都合で海外に行き、和子はおばさんと一緒に住むことになる。
 その和子の肩に、生前の姫をさらった忍者の霊がとり憑いていた。
 死神少年は、和子が、姫と一緒に逃げた腰元の子孫だと姫に教える。
 その夜、おばが和子の家を訪れる。
 死神少年には何か企みがあるようなのだが…。
・「第三章 バイ・バーイ死神さんたち」
 姫は、忍者の霊に命令し、和子がおばを殺すのを阻止しようとする。
 だが、「白い光の神」の力は強大で、忍者の霊は操られてしまう。
 姫は「白い光の神」と対峙するのだが…。
 「白い光の神」の正体は…?
 そして、その目的とは…?

 黒田みのる先生の少女向けのオカルト漫画は今読んだら、キツいものが多いのですが、「死神天使」もちょっと受け入れがたい内容です。
 要約すると、
 「自然破壊」→「自然の精霊のいる精霊界の消滅」→「霊魂が精霊界を通れず、大半が地獄行き」&「日本の神の力が弱まる」→「日本に入り込んだ西洋の悪魔が、日本の死神を操り、きれいな魂の持ち主を次々と殺害」→「日本大ピンチ」
 といった感じの「教え」が全体にわたって説かれております。
 でも、精霊界が消滅する程、日本の自然は破壊されているかな?と田舎住まいの筆者は思いました。
 とは言うものの、近頃の温暖化を考えると、人類滅亡は遠い未来の話ではないかもしれませんが…。

2022年3月16・19日/4月29日 ページ作成・執筆

黒田みのる作品・リストに戻る

メインページに戻る