黒田みのる「廃絶の村」(170円)



「東部大学の学生、谷本晃は、大野教授の講義に出てきた「うろこ村」に興味を抱く。
 東北地方にあると言われる「うろこ村」には、戦国時代、無惨な出来事があった。
 その地を治めていた烏山一族が、謀反に合い、この地に落ち延びてきた時、報奨金に目のくらんだ村人達によって皆殺しにされたのである。
 村人達を止めようとした村長の老人も村人に殺され、烏山一族の若君、太郎丸は村人達に連れ去られ、謀反人の手によって処刑。
 この時の烏山一族の怨念により、村人達は奇怪な死に方をしていき、数年で村は廃村になってしまったのであった。
 その日の夜、暴風雨の中を、晃はうろこ村についてもっと知ろうと、大野教授の家を訪ねる。
 大野教授の書斎には、うろこ村にゆかりのある、血生臭いものが数多くあった。
 打ち首がされた際の血が付いた織物、殺された人々の面、脇腹に穴のあいた武将の鎧、大野恐怖の描いた、うろこ村の惨状を題材にした絵、等々。
 飲み物をつくりに大野教授が書斎を出た後で、晃の前に老人の幽霊が現れ、うろこ村に行かないよう晃に警告する。
 幽霊は扉の向こうに消えてしまい、入れ替わりに大野教授が戻ってくる。
 大野教授は晃に今までうろこ村を訪れた学生達の写真のアルバムを見せてくれる。
 その後、晃は教授の持ってきたドリンクを飲むと、意識がもうろうとしてくる。
 大野教授は、ふらふらになった晃に、もう一人、女友達を連れ、うろこ村を訪れるよう、語りかけるのであった。
 大野教授の家に一泊した晃は学校にまっすぐ向かうが、そこで大野教授が首吊り自殺をしたというニュースが入る。
 警察に呼ばれ、晃は大野教授の家に駆け付けるが、書斎の様子は昨夜と全く違う。
 しかも、大野教授の自殺には不審な点があり、晃達が訝っていると、家から火が出て、全焼。
 そこへ、死体安置所の大野教授の死体が消えたというニュースが晃のもとに届けられる。
 うろこ村に異常な執念を燃やす歴史学者、大野教授の正体とは…?
 そして、谷本晃がうろこ村で見るものとは…?」

 エロ心霊劇画というジャンルを開拓し、遂には新興宗教の教祖様になったという、そのスジの人にとっては半ば伝説の黒田みのる先生。
 どの時代のマンガもそれぞれ興味深くありますが、初期の貸本マンガに関しては、情報が乏しく、(私には)詳しいことがわかりません。
 この「廃絶の村」は最初期の作品の一つ(1960年代前半頃?)であろうと思います。
 なかなか達者な描線で、ときたまポンチ絵ちっくになっておりますが、それも味があっていいです。
 また、ストーリーも投げっぱなしの謎や強引なこじつけが多少(というか、たくさん)あるものの、トータルで見ると、面白いです。
 ラストがあっさりし過ぎているのが残念ですが、当時としては、恐怖描写をかなり頑張っているかもしれません。
 一部、カルト漫画家、徳南晴一郎っぽい描写がありますが、偶然の一致なのでありましょうか?(単なるデッサン狂いとか?)
 下に掲載した絵は、このマンガの雰囲気を味わってもらおうとテキト〜に選んで、掲載したものです。
 「少女エクソシスト」や問題作「大地震」等と較べてみて、時の流れに思いを馳せてみては如何でしょうか?

 ちなみに、次回予告にも載っている二作目「魔人の館」は未入手です。
 是非とも読んでみたいのですが…。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛み、背表紙に小さな穴、色褪せ。糸綴じの穴あり。p22、p27、小さな裂けのテープ補修あり。pp29・30、ページの下隅にコマにかかる欠損あり。後ろの遊び紙の下部、p136の次回予告のページに貼りついて、剥げて、穴となっている。巻末に貸出票の一部、貼り付け。

2016年8月11日 ページ作成・執筆

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