黒田みのる
「海の魔少女」(廣済堂/1987年2月10日初版発行)
「海の幽霊少女」(桃園書房/1991年9月25日第1刷発行)
「高校受験を前に憂鬱な中学三年生、松宮洋子。
彼女が高い丘の上から海を見つめていると、波の間に多くの手が揺れている。
よくよく見ると、手前の方はスクール水着を着た少女達で、その後ろ側には防空頭巾を被ったもんぺ姿の少女達が海から現れる。
このことがあってから、熱で寝込んだ洋子は、翌日、高校を地元ではなく、遠く離れた八文字高校に行くと言い出し、母親と親友を呆然とさせる。
週末、母親と一緒に、父親の墓参りにでかけた洋子は、墓場で奇妙な木を見かける。
二人が墓参りから帰ろうとすると、木の枝の模様が人の顔へと変化し、飛びかかるという幻覚を二人は見る。
その木の根元には「八文字高校」という看板が立ててあった。
異変はそれだけにとどまらない。
下校途中、友人達と写真を写している時に、見知らぬ男が彼女達に話しかけてくるが、彼は交通事故に遭い、死亡。
死んだ男は八文字高校の元教師であった。
そして、撮った写真には、水着姿の少女達が洋子達と一緒に写っていたのだった。
スクール水着の少女達と、八文字高校は何の関係があるというのだろうか…?
そして、もんぺ姿の少女達の正体は…?」
桃園書房版の後書きによると、「海水浴を楽しんでいた女子中学生たちが、高波にさらわれた痛ましい事故を知った夜、海から古い中学校の校舎が浮かび出てくるという、気味の悪い夢を鮮やかなカラーで見た」ことを下敷きに、太平洋戦争の悲劇をダブらせて、一気に単行本として描き下ろした作品とのことです。
黒田みのる先生は戦前(1928年)の生まれで、思春期の頃に戦時を経験しておりますので、戦争の悲劇に対して思うところが多々あるようです。
2015年8月10日 ページ作成・執筆
2018年10月29日 加筆生成