黒田みのる
「死者の国のマリア@」(1989年2月25日初版発行)
「死者の国のマリアA」(1989年8月15日初版発行)
「死者の国のマリアB」(1990年1月10日初版発行)


単行本@
・「第1話 霊は見ていた」
 ある晩、河井美起(中学二年生)に「マリア」と名乗る女性から電話がかかってくる。
 マリアは美起の父親が霊を連れて帰ると言い、実際、その通りであった。
 以来、美起は霊を視ることができるようになる。
 翌日の下校時、彼女は何故かバスに乗り、ある停留所で降りる。
 更に、フー太(子供の浮遊霊)に導かれ、彼女は病院へとやって来る。
 そこの公衆電話でマリアから「病気でねている女の子」を助けるよう頼まれるのだが…。
・「第2話 左廻りの愛」
 土曜日の放課後、美起が家に向かっていると、気味の悪い顔の女生徒が彼女の後をつけてくる。
 彼女は一年生の西森で、彼女の顔には憑依霊の顔が浮かび出ていた。
 西森の憑依霊は美起に助けを求めるが、西森はその場から走り去ってしまう。
 西森はカバンを忘れており、美起が拾うと、そこに悪魔が現れる。
 美起は、青年の霊に言われた通り、「スッ」「スッ」「スッ」と息を吐くと、悪魔は退散。
 翌日の正午、見晴しヶ丘で美起は西森と会うのだが…。
・「第3話 前世のママ」
 日曜日、美起はコンサートに行くので、大張り切り。
 だが、ヘアスタイルをセットしていると、鏡の中に憑依霊が現れ、「泣きたいような気持になる人」に会うと告げる。
 駅で美起が登りのエスカレーターに乗っていると、階段を降りている女性とすれ違う。
 女性を一目見ただけで、何故か涙が溢れ、結局、コンサートも楽しめないまま。
 数日後、美起は友人達とハンバーガー屋に寄る。
 そこで美起はマリアと会うと、マリアは美起のことを心配していた。
 マリアが消えた後、美起はあの女性を再び目にするが…。
 美起とその女性のつながりとは…?
・「第4話 霊にされる日」
 二学期が始まって、間もない夜。
 美起が目覚めると、目の前に恵子の姿があった。
 彼女は十日前に病気が良くなって、退院し、自宅で療養しているはずであった。
 恵子は美起に別れを告げ、消える。
 そこにマリアが現れ、恵子は明日の夕方に死ぬと告げる。
 だが、あまりにも突然で、マリアや青年の霊は不審に思っていた。
 翌日の放課後、美起は恵子の見舞いに訪れる。
 すると、恵子の容態は急に悪化。
 恵子の額から幽体が抜け出ており、霊界から迎えが来るのだが…。
・「第5話 霊は泣いていた」
 美起は浮遊霊が視えることを苦痛に思う。
 フー太と青年の霊は「霊を救うために」「マリアさまから選ばれた」と励ますが、美起は聞き耳を持たない。
 そんな美起の前に、悪魔が姿を現し、霊を救えるのは悪魔だけと彼女に言う。
 気が付くと、美起は水着姿でプールに入っていた。
 悪魔たちにプールに沈められ、美起の魂は「死者の国」の入口に行く。
 そこには苦しみもがく霊たちでいっぱいであった。
 悪魔は地縛霊も憑依霊も浮遊霊も皆、苦しみを取り除き、救うと訴えるのだが…。
・「第6話 霊が消される日」
 放課後、美起は友人二人(小山幸子、マキ)に神社に連れていかれる。
 二人は六か月前から美起の様子がおかしいことを不審に思い、彼女と話をするつもりであった。
 美起は自分が霊視能力を得て、霊を救うために悪魔と戦っていることを打ち明ける。
 だが、美起は霊など視たくはなく、普通の少女の戻りたい。
 すると、マリアが現われ、美起を諭す。
 そこへフー太と青年の霊がやって来て、死者の国の入口が大変だとマリアに報告する。
 美起と友人二人は死者の国へと連れて行かれるが、そこで目にしたこととは…。

単行本A
・「第1話 学園の霊たち」
 ある秋の夜の午後八時。
 マリアから電話があり、美起と友人二人は学校の校門前に集まる。
 彼女達の前に現れたのは、飛び降り自殺をした石本先輩の霊であった。
 マリアの声真似をして、三人を呼び寄せたのは彼女で、美起たちについてくるよう言う。
 言われるまま、学校に入り、ある教室で三人の先輩達の霊と出会う。
 だが、学校にいる霊たちは何かに怯えており、ここには集まっておらず、石本は時計台へと向かう。
 美起たちはある霊に言われ、正面玄関に向かうと、時計台の上に石本がおり、その周りに、学校中の霊が集まっていた。
 石本によると、学校は今、悪魔よりも「恐ろしいもの」に占領されており、これを倒せるのは美起しかいないというのだが…」
・「第2話 女王の光」
 学校で美起の前に現れた「女王」。
 彼女は「悪魔の大王や軍団までも自由にできるすごい女王」であった。
 青年の霊から美起は「女王」の目的について教えられる。
 一方、美起の友人の小山幸子は夢の中で青年の霊と出会い、すてきな男の子と出会うと告げられる。
 数日後の日曜日、美起たち三人は町はずれの丘に向かうのだが…」
・「第3話 ヤマトの光」
 日曜日の朝、美起が公園を訪れると、二人の若い男女が現れる。
 二人は恰好からしてアイドルらしく、美起は「悪魔に魂を売ったアイドル」だと考える。
 だが、いつの間にか、美起は、先週の水曜日の午後一時の小学校の前にいた。
 更に、彼女はどんどん過去を遡り、戦国時代、そして、恐竜の棲む時代にまで行ってしまう。
 アイドルらしき男女の正体とは…?
・「第4話 消えた霊たち」
 中学校が「女王」に襲われる。
 その知らせを聞き、美起は、若月潤(青年の霊がとり憑いている男性)のバイクに乗って、中学校に向かう。
 途中、悪魔達の必死の抵抗にあい、中学校に来た時には既に遅く、中学校の霊たちは地下に連れて行かれていた…」
・「第5話 カッコイイ街」
 美起は悪魔の国の入口に「ヤマトの光」を照射し、その入り口を開く。
 だが、地下にある「悪魔の国」に入れたのは、美起と若月潤だけであった。
 「悪魔の国」は地上と同じような感じで、普通に人もいる。
 フー太が届けてくれたバイクで、二人は町中を疾走する。
 だが、道路の真ん中に女の子が立っていて、バイクで轢いてしまう。
 美起は女の子に「ヤマトの光」を当てるのだが…。
・「第6話 霊が死ぬ山」
 女王のいる山に向かい、二人を乗せたバイクは走る。
 九つ目の町に差しかかった時、バイクは天に登る霊達にぶつかる。
 彼らは霊であったが、悪魔から肉体を得て、悪魔のために働くために地上に送られていた。
 美起たちは霊に取り囲まれるが、チコという女の子に助けられる。
 チコは霊ではなく、人間らしい。
 彼女に案内された建物には、アイドル志望の若者達が集められていた。
 彼らは女王の光でアイドルにされようとしていたが、恐れをなし、美起に助けを求める。
 しかし、悪魔に勘づかれ…。

単行本B
・「第1話 美起とマヤ」
 中学校での一件以来、美起は霊視能力も「ヤマトの光」の力も失う。
 普通の女の子となった美起は中学三年生に進級し、普通の学園生活を送る。
 初夏のある日、美起は幸子から一年生の児島マヤという少女の噂を聞く。
 児島マヤは、昔の美起のように、光を出すことができた。
 その日の昼休み、マキが児島マヤを美起たちの所に連れてくる。
 マヤは「心霊クラブ」を作りたくて、先輩達に助力を仰ぎに来たのであった。
 その場でマヤは光を出して、自分の能力を示す。
 マヤに会ったことで、美起は霊たちやマリアを思い出すのだが…。
 児島マヤの正体とは…?
・「第2話 マヤと悪魔たち」
 町はずれの丘の上で、美起と幸子は、マヤと若月潤と出会う。
 マヤと潤のそばにある木には悪魔がコウモリのようにぶら下がっており、マヤの光は頭上に伸びていた。
 マヤは自分はこれが精いっぱいと話し、美起に光を出すように頼む。
 美起は自信はなかったものの、頼まれたので仕方なくやってみると、「ヤマトの光」が出る。
 しかも、前よりもパワー・アップしていた。
 気が付くと、マヤと潤の姿は消えていた。
 その夜、美起の部屋に、石本先輩の霊が現れるのだが…。
・「第3話 マヤの光」
 美起と幸子は霊達に導かれ、児島マヤの家に向かう。
 そこはオシャレなアクセサリーショップであった。
 店の前には若月潤のバイクが停めてあり、座席ではフー太が船をこいでいる。
 彼は店の前で見張りをしているらしい。
 店の女主人は、マヤにそっくりの若い女性であった。
 その女性の方は年上で、マヤの姉のような感じだが、名前は同じマヤであった。
 裏から若月も出てきて、マヤは今、留守だと言う。
 話していると、突然、若月は美起と幸子を裏へと引っ張り込む。
 店には女子高校生達が入ってくるが、どうも様子がおかしく、店の女主人を取り囲む。
 女子高生達は「女王」の手先で、女主人は光で応戦する。
 しかし、光は前にしか出ず、横から襲われたら、ひとたまりもない。
 そこにマキが現れ、女主人に加勢するも、光の出ない彼女は無力であった。
 そこに、児島マヤが店にとび込んでくる。
 女主人とマヤの関係とは…?
・「第4話 悪魔の墓」
 授業中、美起、幸子、マキの三人は悪魔の姿を視る。
 だが、児島マヤは何も気づいていなかった。
 放課後、美起とマヤはマヤの家に向かうと、マヤの家の上に墓場の幻が視える。
 どうやら悪魔達はある墓地に「悪魔の基地」を作る予定らしい。
 手掛かりは「街の真んなか」で、「気味の悪い木」があること。
 美起、幸子、マキ、マヤ、若月潤は美起の家に集まり、墓地の場所を突き止める。
 その時、フー太が知らせを持ってやって来る。
 明日の夜、悪魔達が町のどこかに基地をつくり、この町の人間と霊を手下にするつもりらしい。
 美起たちは基地の場所が墓地か学校か悩むのだが…。
・「第5話 優しい光」
 女王の企みを見抜き、美起とマヤは中学校で悪魔達を迎え撃つ。
 だが、多勢に無勢、様々な方面からの攻撃により、二人は倒れる。
 そして、朝日が顔を出した時、二人の命はなくなるというのだが…。
・「第6話 美起、光ね!」
 女王に幸子とマキを人質に取られ、美起は窮地に陥る。
 女王は美起に普通の女の子になると宣言するよう迫るが、美起は拒否。
 マヤはマキと幸子をよって助けるも、今度はマヤが悪魔に囚われてしまう。
 仲間が次々と倒れる中、美起は女王と一騎打ちとなる…。

 「サスペリア」に連載された作品で、当時はかなり人気があった模様です。
 一通り、粗筋を書いてみましたが、ぶっちゃけ、内容はよく理解できません。
 メインは手垢のついた『「善」と「悪」の戦い』なのですが、独特過ぎる「心霊」解釈と「まったり」しまくったテンポのために、焦点がぼやけたまま、ストーリーは進んでいきます。
 B巻では美少女の児島マヤ(いい感じ!!)を投入して、立て直しを図り、まあまあ成功したとは思いますが、この児島マヤもラストにちょこっと説明があるだけで、どういうキャラか結局のところ、よくわかりません。
 と言うわけで、相変わらずの「黒田みのる節」で、「考えたら負け」です。(「感じる」には私の神経は鈍麻しすぎております。)
 あと、ちゃんと確認を取ってはいませんが、「死者の国のマリア」が秋田書店での最後の作品だと思います。
 後に、黒田みのる先生は「スペクター」で連載を持ち、徐々にレディース・コミックに活躍の場を移していったようです。

2023年3月19・21・28日 ページ作成・執筆

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