黒田みのる「魔少女@AB」(1982年9月16日第一刷発行)
・「魔少女@」
「中学一年生の司リカ、潤子、雪子は、関口先生を顧問とする、怪奇クラブのメンバー。
ある日、三人は、関口から「悪魔のまつり」という本を貸してもらう。
その本には、悪魔が森に集まって、集会をすることについて書かれていた。
サバトに興味を持った三人は、放課後、学校から立ち入り禁止にされている森に行ってみる。
森の中に向かうと、地面に白いガスが立ち込め、混乱した三人は逃げようとして、奥深くに入り込んでしまう。
そこには広場があり、中央に、穴だらけの、ねじくれた木が立っていた。
木の穴から、人の顔のついた霊魂が現れ、雪子、潤子に襲いかかる。
リカは逃げようとするが、目の前に、悪魔が立ちはだかり、気絶。
気が付くと、彼女は、家のベッドの中であった。
心配した両親は彼女から話を聞き出そうとするも、リカはすっかりヒステリー状態。
そんな時、リカは、潤子から、雪子が交通事故死したという電話を受ける。
雪子の死にもめげず、リカ達は怪奇クラブを存続させるのだが…」
・「魔少女A」
「死んだ親友が「死者のくに」に行けるよう、リカは一人、怪奇クラブに残り、悪魔の研究を続ける。
そのため、周囲からは「魔少女」と気味悪がられるようになるが、ある日、彼女のもとに梅林寺の和尚から返信が届く。
梅林寺は、司家の先祖のお墓のあるお寺であり、リカは自分の御先祖様について興味を持て、手紙を書いたのであった。
そのことを報告しようと、休みの学校へ行ったリカは、関口先生が悪魔に詳しいことを知る。
日曜日、リカは、関口先生と共に、梅林寺を訪れる。
しかし、関口先生は何故か、お寺の門から先に進むことができない。
リカは、和尚から「波長」「霊魂」「先祖」についていろいろと教えられる。
そこに、傷だらけになった関口先生が現れ、和尚の言葉は嘘だと訴えるのだが…」
・「魔少女B」
「遂に、一人になってしまったリカ。
彼女は、怪奇クラブをやめることを宣言するが、実は、雪子の母親と共に、クラブを続けていた。
雪子の母親は、娘が亡くなったのは悪魔の仕業であることを知り、リカと共に、悪魔を退治しようとしていたのである。
サバトのある夜、二人は、装備に身をかため、悪魔の集まる森へと向かうのだが…」
黒田みのる先生が「悪魔」についての考えを披露した作品だと思います。
この作品によると、日本はもとは「悪魔」が入りにくかったが、日本人が「物にたよりすぎ心をわすれ」た機会に、日本進出を目論んでいるとのこと。
そして、恨みを持つ霊魂達が悪魔と契約すると、悪魔は恨みの対象の子孫を誘惑し、その隙に、恨みのある霊魂は子孫を憑り殺すという寸法らしいです。
まあ、当たり外れは別として、一番、気になるのは冒頭の文章でありました。
「(…)霊のことひとつをとってみても、心霊世界のことは文章やコミックでいろいろ書かれていますが、ハッキリいって、ほんとうにわかって書いているのかなあと云うようなものがあまりに多すぎるような気がしてなりません。」
何を根拠に、そのような自信が出て来るのか、それが本書において最大の謎です。
2020年7月5・6日 ページ作成・執筆