黒田みのる「霊障人生」(1991年2月25日第1刷発行)

 収録作品

・「ブルーリレー」
「浜辺にたたずむ二人の若い男女(全裸)。
 空の太陽がひび割れると、中から赤ちゃんが生まれ出てくる。
 二人は赤ちゃんをうまくキャッチして、愛情いっぱいに育てる。
 赤ちゃんは立派な青年に成長し、年老いた男女は相次いで亡くなる。
 一人残された青年は雨の日、若い娘と出会い、愛し合う。
 そして、朝、太陽が昇る。
 娘は砂浜に突き刺さった槍を抜き、太陽に向かって投げるのだが…」

・「かもめ特別攻撃隊」
「太平洋戦争末期。
 ある海岸に片目のかもめが住みつくようになる。
 特攻機が出撃する時、このカモメが現れ、この鳴き声で大空の一点にかもめ達が集まるのであった。
 昭和二十年三月。
 ある宿で、雨宮竜一少尉に弟の竜造と、竜一の恋人である美保が会いに来る。
 雨宮竜一は明日、特攻機で出撃する予定であった。
 竜一と美保が二人きりになった時、美保は抱くよう迫るが、竜一は思い出だけを持って死ぬと言って拒む。
 翌日、海岸で美保は特攻機を見送る。
 空にはかもめが荒々しく待っていた。
 美保は戦果確認の機が戻るまで待っていると、一機の零戦がこちらに向かってくる。
 零戦は故障しており、かもめをプロペラに巻き込みながら、港に墜落し、爆発。
 二十日後、竜造は墜落した機に兄が乗っていたことを知る。
 彼は無駄死にした兄について考え、非国民と言われようと生きていたいと思うようになる。
 眠れない夜を過ごした明け方、動員学徒隊宿舎の窓に外に片目のかもめが現れる。
 かもめ達は工場の上空に舞っていた。
 彼は美保を連れ、工場から離れた山陰に避難する。
 そこで、彼は彼女を抱くのだが…」

・「見えない世界 心霊質問箱 解答・黒田みのる」
「悲しくないのに涙がでる私って……」

・「グリーントラベル」
「折居愛は23歳の短い生涯を終える。
 両親、祖母、恋人の歩が彼女の死体に取りすがって号泣する中、祖父は一人姿勢を崩さず、涙一つこぼさない。
 だが、突如、彼は愛の枕元に近づき、その死に顔を覗き込む。
 その死に顔は昔の恋人の美保と重なり、彼は悲痛するも、それが孫娘であることに気づき、一人部屋から出ていく。
 ベランダで夜空を見上げる祖父。
 彼のもとに、折居愛の霊魂が近寄ると…」

・「幽界大浮上」
「祖母の死。
 親戚のおばの死。
 歌謡界の大物歌手の死。
 人はだれでもいつかは死ぬ。
 死んだ後に向かう「死者の国・幽界」とは…?」

・「見えない世界 心霊質問箱 解答・黒田みのる」
「死んだウサギが家庭を不幸にしてるのかなあ!?」

・「霊障人生」
「西野は口禍を何度も繰り返し、折角、本社に戻れたのに、また台無しにしてしまう。
 ある夜、屋台でやけ酒を呷っていると、屋台のオヤジが「憑依霊」について話す。
 屋台のオヤジは酒で散々失敗し、どん底にまで落ちたが、それは全て憑依霊の仕業らしい。
 西野は自分の失敗や不幸も憑依霊のせいではないかと考え、翌日、屋台のオヤジのところに向かう。
 彼は霊を取り除く方法について教えてもらおうとするのだが…」

 心霊世界について扱った作品がメインです。
 この手の作品って、ストーリー性が希薄で、粗筋を紹介するのに困るんですよね…。
 中での異色作は太平洋戦争時代を舞台にした「かもめ特別攻撃隊」。
 黒田みのる先生は1928年生まれだけあって、あの戦争についての思いは深いようです。(他にも太平洋戦争を扱った作品は多いです。)
 また、「ブルーリレー」は非常に幻想的な作品ですが、後半の展開とつながるのか、コレ…?

2022年12月21・22日 ページ作成・執筆

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