黒田みのる「赤い草の霊」(1991年6月25日第1刷発行)
「牧野麻耶は高校一年生の少女。
彼女の家族が引っ越した建売住宅は、海に流れ込む川に面する工場跡に建てられていた。
引っ越して間もない頃、麻耶は川の中に気持の悪い、赤い草を見つける。
赤い草は奇妙な音を発し、水中に没して見えなくなる。
その夜、家の庭にその草が現れる。
草は白い煙を出しており、麻耶に見られると、地中に引っ込んでしまう。
翌日、学校で麻耶は赤い草を荷台に乗せている、バイクの男性を見かけ、行方を追う。
男性の家を訪れると、その妻は狼狽を隠せない。
彼女によると、男性は十日程前から、毎夜どこからかその草を持ち帰るようになり、非常に大切にしているという。
それ以上のことは聞き出せずじまいであったが、その夜、麻耶の部屋に赤い草が現れ、草の中から人の顔が覗く。
更に、翌朝、赤い草を集めていた男性が麻耶の家の前の川で溺死。
事件の騒動の最中、太田という記者が現れ、学校まで麻耶に会いに来る。
麻耶は太田から赤い草の秘密を聞くが、それは赤い草が「死者のくにとつながっている」というものであった。
その晩、溺死した男の妻が麻耶を訪ね、赤い草が生えている場所を教えてくれるよう頼むのだが…。
赤い草に秘められた目的とは…?」
廣済堂の「赤い草の家」とタイトルを変え、復刊したものです。
「あとがき」での「発表した当時は、たくさんの読者から面白かったというお手紙や電話をいただきました。怖かったとか、恐ろしかったとかいう感想はひとつもなくて、面白かったといわれて、喜んでいいのか、がっかりした方が自然なのか迷ってしまった」という下りが微笑ましかったです。
確かに、怖くはない…。
・備考
背表紙色褪せ。カバー貼り付け。
2022年12月20日 ページ作成・執筆