黒田みのる「悪霊物語」(1991年4月25日第1刷発行)

 収録作品

・「凍てついた影」
「あるブティック店の新人店員、由利。
 彼女は、一か月、同棲している良夫がサラリーローンで借金をしていることを知る。
 借金の額は520万円で、期限は土曜日。
 良夫は由利と別れようとするが、彼女は彼を引き留める。
 実は、由利は今まで何度も恋をしたが、いつも金を貢いだだけで終わっていた。
 良夫は借金の理由は女ではないと断言する。
 翌日、ブティックを早引けした由梨が向かったところは…」

・「見えない世界 心霊質問箱 解答・黒田みのる」
「守護霊さんにお礼がしたいんですけど。」

・「生まれ変わり」
「ある平凡な一家(家族構成は、夫婦と幼い兄妹)。
 一週間前から、五歳の明彦が妙なことを言い始める。
 自分は、H市でパン屋を営む司正夫だと主張するのであった。
 ある昼下がり、父親は明彦を車に乗せ、精神病院に行こうとする。
 それを察した明彦は父親にH市に行くようせがみ、明彦に言われるまま、車はH市に到着。
 明彦が向かった先には、司ベーカリーというパン屋があり…」

・「とり憑いてやる!」
「H商会の加藤社長は、仲間の村上の裏切りを知り、発作を起こして死亡する。
 加藤の幽体に指導霊は「死者のくに」に行くよう勧めるが、彼は村上への恨みを忘れることができない。
 三年後、加藤の息子に赤ちゃんが生まれるが…」

・「北向きの寝室」
「都心から私鉄で一時間半のところにある、みどり台住宅地。
 そのうちの一軒に、ある夫婦が不動産屋に案内されて、やって来る。
 妻の静子は家が妙にひんやりしていること、壁の爪でひっかいたような痕、西南の部屋の窓からは精神病院が見えること等、気になるが、一番奇妙なのは北向きの部屋であった。
 ここは北向きで薄暗く、納戸の上にあるせいでやけに冷える。
 とは言え、値段が格安ということもあり、夫婦はこの家を購入する。
 家のローンのため、夫は日々残業する一方で、妻の静子は北向きの寝室でオナニー狂いになっていく。
 自慰の際、寝室は冷気に包まれ、その冷気は身体を触れているかのようで奇妙に心地よい。
 ある晩、いつものように冷気が現れるが、それと共に畳の間から白い煙のようなものが出てくる。
 白い煙に押されるようにして、彼女は納戸に向かうのだが…」

・「見えない世界 心霊質問箱 解答・黒田みのる」
「私は霊感が強く色が見えるんですけど……」

・「憑依霊はサインし合う」
「都心の中にある公園。
 マリは、恋人に別れを告げた後、地下鉄の駅に向かうため、公園を横切っていた。
 その公園の木陰では一人の男が誰かが通るのを待ち構えている。
 二人の憑依霊は互いに霊波を送り合って、通信しているのだが、その目的とは…?」

・「心霊写真鑑定す!」
「パワープロに送られてくる、読者からのたくさんの心霊写真。
 まず、スタッフが写真を選び、その後、黒田みのる御大と、写真家の西丸が鑑定。
 そうして選りすぐったものを、霊能者の倉橋美子が霊視する…」

・「霊はアナタのそばに…」
「不良女子高生のマキは友人達と酒を飲んで、泥酔するが、目覚めた時、霊が視えるようになっていた。
 とはいうものの、他の人には見えていない様子。
 そこで、オカルト雑誌を出している出版社の編集部を訪れるのだが…」

・「悪霊物語」
「島本綾子(26歳)は平凡なサラリーマンの娘。
 彼女はボーイフレンドは多いのに、何故か縁遠く、結婚まではいかない。
 健康診断の際、インターンの栗橋と出会い、いいところまで行くが、デート中、二人は暴漢の連中に襲われ、綾子は凌辱、栗橋は男性機能を失う。
 傷心の綾子のため、綾子の母親は、親友の住む、九州のK市に彼女を預ける。
 母親の親友の息子、山口行雄(25歳)は綾子を自分の住むアパートに案内するが、急に劣情をもよおし、綾子を押し倒す。
 そこに、母親の友人である金山女史が部屋を訪れる。
 金山女史は精神科の女医であるにもかかわらず、心霊研究家でもあった。(黒田みのる作品ではおなじみの人)
 彼女は綾子に「悪い霊」がとり憑いていると話し、彼女に「炎の業」を施すと…」

 一番興味深いのは「心霊写真鑑定す!」。
 心霊写真を見分ける過程について描かれており、心霊写真に対しても「炎の業」を行っていて、妙に感心しました。(しかも、黒田みのる御大だけでなく、パワープロの面々も参加しております。)
 黒田みのる先生は心霊写真に関する本を幾つも上梓しておりますが、私個人としては、胡散臭いという印象を払拭することができませんでした。
 でも、これを読んだ後、極々々々々わずかながら、信憑性が増したような気がしております。

2022年12月28日 ページ作成・執筆

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