池川伸一「赤子火葬曲」(1975年9月10日発行)
「比呂美の家族は、姉夫婦の間に産まれた女の子、幸子に夢中。
だが、比呂美は、夜の二時頃に、見知らぬ女性が墓をあばき、女児の死体を泣きながら抱きしめる夢を何度も見るようになる。
また、日中、庭で比呂美が本を読んでいると、誰もいないのに二階のベランダから植木鉢が比呂美の上に落ちてくる。
間一髪でよけたものの、植木鉢が落ちてきた原因がわからない。
その時、ベビーベッドで寝ていた幸子の姿がないことに気付く。
皆が慌てて幸子を探すと、庭に怪我をした犬と口から血を流す幸子がいたのであった。
奇怪なことが続く中、幸子に異変が起こる。
幸子の皮膚に原因不明のアザが広がり始め、背中にもこぶのようなものが盛り上がってきたのであった。
この幸子の姿を見て、比呂美の父親と兄の顔色がすぐれないのを、比呂美は見て取る。
比呂美は二人に何か秘密があるのではないかと勘繰るが、二人の秘密とは…?
それは比呂美が見る夢と関係があるのであろうか…?」
何よりまず、「赤子火葬曲」というタイトルがいいじゃないですか!! この言語センス、インパクトは絶大です。
ただし、それが内容と合っているかというと、正直、ビミョ〜。
巻末の「読者コーナー」(注1)で、「前回『私の背中にくも女』では題名と中身がちがうという苦情が何通もあり恐縮しています。」と書かれておりますが、どうも口だけだったようです。(次回の「白髪娘の呪い」でも同じこと、やってますしね。)
ストーリーに関しては、ネタバレですが、「奇○児のため、殺された赤ん坊の霊が、別の赤ん坊に憑りついて、復讐を果たす」という、ちょっとやばめなもの。
霊に憑りつかれた赤ん坊の描写は、気色悪いだけで、ちっとも感情移入できないかもしれません。(霊に憑りつかれてなくても、あまり可愛くないような…。)
まあ、個人的には、漫画本編よりも「読者コーナー」の方が興味深くありました。
貸本時代の熱血な読者コーナーとは打って変わって、やる気のなさがひしひしと伝わってくるのであります。
(詳しいことは知りませんが、池川伸治先生は貸本時代が終焉を迎えた頃、漫画家を一時引退した時期があるとのことで、その時に、何らかの事情で「漫画への情熱」は燃え尽きてしまったんでしょうか?)
非常に「ユル〜い」つくりになっておりまして、読者への返事もどこか空虚です。
作品紹介の「回を追う事につまらなくなっていますから、なるべく買わないように?」という自虐的なところも、ただただうら寂しいだけです。
池川先生に一体何があったというのでしょうか…?
・注1
誤植で「読者コーター」となっております。
そこは間違えるには、ちとキツいかも…。
2016年4月25日 ページ作成・執筆