池川伸一「私の背中にくも女」(発行年月日不明)

「葬式のために京都まで出かけた両親の帰りを待つ兄弟達、長男の修一、長女の愛子、次男の修二。
 しかし、家で夕食の支度をしていたのは、近所のお婆さんであった。
 母親は深夜に帰宅するが、その姿を見せようとしない。
 朝にもまた、近所のお婆さんが朝食の準備をしていて、母親は病院に出かけたと言う。
 晩になって、母親は家に戻るが、子供達の目にも明らかに様子が怪しい。
 続いて帰宅した父親も、交通事故で怪我をしたと、顔に包帯を巻いていて、どこか変わったところがある。
 まかないで来ているお婆さんに理由を尋ねても、ただただ言葉を濁すだけで、はっきりしない。
 そんな両親に子供達は不審の念を募らせていくが、遂に両親の秘密が明かされる時がくる…」

 高校生の頃から「観たい、観たい…」と思いながらも、果たせないまま、現在に至る映画の一つに「デッド・オブ・ナイト」(米/1974年)(注1)があります。
「ベトナム帰還兵が実は死んでいて、肉体を維持するために、人の血を必要とする」…という内容らしく、ネタばれですが、このマンガも、まあ、そんな内容です。
 と言いましても、まったりした展開で、血生臭い描写等、多くはありません。
 そこで、大して期待せずに読んでいると、ラストで胸がぐっと詰まってしまいました。
 テーマは「家族愛」…不覚にも、感動しました。
 でも、自分達が自動車事故死したからって、一生、子供達に車に乗るな、と遺言するのはどうかと思いますが…。
 ちなみに、タイトルは「私の背中にくも女」ですが、ヒロインが見る悪夢の中にしか「くも女」は出てきません。(たった3ページ…)
 巻末の読者ページも含めて、やっぱり池川伸治先生は相変わらずなのでありました。(ただし、自画像はちょっぴりオヤジになってます。)

・注1
 この映画の監督は、ボブ・クラークというお方で、タイトルだけは有名なゾンビ映画「死体と遊ぶな子供たち」(米/1972年)も監督しております。
 ゾンビ映画の中では出来のいい方でしょうが、とにもかくにも、前半が退屈だった記憶があります。
 それでも、墓場からゾンビがウヨウヨ這い出てくるシーンは、ホラー映画史に残る名シーンではないでしょうか。
 ゾンビさん達が皆、寝起きでダルそうな感じをしておりまして、異様な効果音と相まって、大のお気に入りです。(YouTubeでたまに思い出しては観ています。)
 このレビューを書く機会に調べてみたら、日本版DVD化が(低価格で)発売されておりました。(やっピ〜)
(ついでに、「怪人ドクター・ファイブス」「ブラッド・ピーセス 悪魔のチェーンソー(完全版)」「サマーキャンプ・インフェルノ(ボカシなし)」「ミイラ転生 死霊の墓」も出してくれ〜。)

2016年2月13・14日 ページ作成・執筆

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