片岡かつよし「怪談どくろ姫」(1974年7月31日発行)

「竹男は、女友達三人と、中学校まで過ごした、父親の故郷に帰省する。
 その土地には、鍾乳洞が多数あり、それには、忌まわしい過去が伝えられていた。
 戦国時代、城を追われた八鬼義久という武将がこの村に落ち延びる。
 再起を図るまでの英気を養うために、義久達は村で過ごすこととなる。
 その中でも、最も活き活きしていたのが、それまで城での窮屈な生活に縛られていた、八重姫であった。
 しかし、追跡の手はこの村にも迫り、村人の生命の安全のために、村長は義久達を毒殺。
 その様を目の当たりにした八重姫は復讐の鬼となり、夜な夜な村を襲撃する。
 遂には、村人達の反撃にあい、瀕死の傷を負った八重姫と侍女の楓は、隠れ家の鍾乳洞へと逃れるが、村人達への怨念を書き残し、八重姫は息絶える。
 八重姫の祟りを恐れた村人達は、鍾乳洞の入り口に、慰霊碑を立て、以降、誰も鍾乳洞の中へ立ち入らなかったのである。
 だが、四百年後、八重姫の怨念が復活する。
 実は、竹男の女友達の一人、大月みどりは八重姫の生まれ変わりであった。
 みどりに憑依した八重姫は、義久を毒殺した村長の子孫である、竹男の命を狙う。
 このことを知った竹男は、みどりと共に、八重姫の死んだ鍾乳洞に向かうのだが…」

 宮本ひかる先生(二代目)のマブダチ、片岡かつよし先生のひばり書房でのデビュー作です。
 漫画家としてしぶとく活躍する片岡先生ですが、これはまだ初期の作品ですので、かなり粗が目立ちます。
 そこは、先生お得意の「LOVE注入」でカバー!!
 詳しく申しますと、陰惨な怪奇マンガに、赤面してしまうぐらいのストレートな「純愛もの」の要素をぶち込んでいるのです。
 さがみゆき先生のようにストーリーにうまく溶かし込むというような芸当はできるわけがなく、怪奇マンガから突如、中学生の脳内妄想のような純愛路線へと突入するので、読んでるこっちとしては、くすぐったかったり、あっけにとられたり、苦笑してしまったりするしかないのです。
 特に、pp202・203のエンディング・シーンの破壊力は抜群!!
 加工していない、生の(raw)「純愛」というものが、どれだけこっ恥ずかしいものか、非常によく理解できるシーンです。
 と、まあ、稀有な読書体験をすることができますので、レア本ではありますが、機会があれば、一読をお勧めいたします。

・備考
 貸本。糸綴じ穴あり。読み癖あり。シミ、汚れ、多数。後ろの遊び紙にボールペンによる書き込みあり。前後の遊び紙とカバー袖にセロテープの痕が幾つもあり。

2016年3月14日 ページ作成・執筆
2016年12月27日 加筆訂正
2019年12月25日 加筆訂正

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