眉月はるな「侵略ガ二」(1975年9月10日発行)



「日本海の小さな島を訪れた、三人の若い女性、文子、洋子、ユキ。
 彼女達の目的地は、秘境と呼ばれる宮本谷であった。
 彼女達は、浜辺で遊ぶ子供に、宮本谷への道を聞くが、突如、子供は泡と消えてしまう。
 子供の失踪に関係あるとして、三人は夜まで警察に拘留されるが、そこへカニの大群に襲われたと島民が飛び込んでくる。
 警察には至る所からカニの襲撃に関する救助要請が寄せられ、大混乱。
 洋子達は島民達と共に公民館に避難するものの、そこもカニの大群が包囲網を狭めていく。
 洋子のアイデアで公民館から無事に脱出したのも束の間、今度は羽根の生えたカニの群れに襲われる。
 わずかな生き残りが逃げ込んだ場所は、秘境の宮本谷であった…」

 ひばり書房色枠の代表的なマンガです。(黒枠もありますが、高価です。)
 まず、ジャケットが素晴らしい!!
 胸躍るデザイン、鮮やかな色使い、そして、突き抜けるようなブルー枠…心を鷲掴みされない、怪奇マンガ・ファンはいないはず!!(かも…)。
 また、ストーリーも「公害で突然変異を起こしたカニが人を泡で溶かしていく」といったもので、「カニに銃を乱射する警官達」「空飛ぶカニ」といった描写が、まさしく「血管逆噴射」(注1)、血圧計の目盛りが振り切れそうです。
 ワクワクしながら、全編この調子で行くのかと思いきや、宮本谷に逃げ込んでからは、そこに棲む蛟(みずち)云々のエピソードにシフト・チェンジして、正直なところ、トーン・ダウン。
 んで、紆余曲折を経て、意外なラストを迎えるのですが、カニの退治方法を知ると、本書の面白さは半減(いや、激減…)してしまいますので、御注意のほどを。
 まあ、当時のB級怪奇マンガと考えて読めば、それなりに楽しめる出来です。(ただし、過大な期待は抱かないように。)
 マニアの間では有名な作品でして、電子書籍で構いませんから、若い怪奇マンガ・ファンの方でも読めるようにしていただきたいものです。
(若い方々に、こういうマンガで大枚をはたかせるのは、心が痛みます。まあ、一番に罪があるのは、こういうマンガを見せびらかして煽っている、私のようなマニアなのでしょうが…。)

・注1
「決定版ホラー大百科」(秋田書店/昭和61年3月30日初版発行)p17より引用。
 サム・ライミの「死霊のはらわた」を紹介するカラーページなのですが、墓場に引きずり込まれる女性の写真って映画にはなかったような気が…。
 しかも、その下の写真は、ダリオ・アルジェントの「フェノミナ」ですか…?(昔、一度観ただけなので、内容、忘れてます。)

・備考
 貸本。ホッチキスのようなもので綴じ。小口にシミや汚れ。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2016年3月16日 ページ作成・執筆

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