高園寺司「復讐鬼」(1974年2月28日発行)



「倉山一美は母親を十二年間に亡くしていたが、優しい父親と共に幸せな日々を送っていた。
 だが、母親の法事で、ホテルに泊まった際に、猫の惨殺死体を目にしてから、不穏な空気が漂い始める。
 彼女の周囲で、猫が惨殺される事件が相次いで起こり、更に、彼女の仕業にされてしまう。
 父親は、猫殺しの事件で知り合った学生、高村三郎を家庭教師に雇い、一美の様子を見させる。
 しかし、一美は奇怪な出来事に次々と見舞われ、更に、誰も彼女の言うことを信じてはくれない。
 彼女の前に度々現れる、身体中を紫斑に覆われた怪人の正体は…?
 そして、父親の過去の戦争犯罪とのつながりは…?」

 いろいろなところで言われておりますが、「よくこれで単行本を出せたな…」という驚異の漫画家、高園寺司先生の作品です。
 どの作品も入手困難で、半ばあきらめていたところ、(状態は悪いものの)運よく入手できましたので、今回、ご紹介いたします。
 と書きましたが、実は、この作品の魅力をどのようにして伝えたらよいのか、途方に暮れております。
 まず、この凄まじい画力の前に、言葉を失うしかありません。
 下手です。凄まじく下手なのです。
 ただし、下手の一言で切り捨てられない「何か」があるのです。
 その「何か」を言葉にできず、また頭を抱えてしまう…。
 しいて表現するならば、「あまりに安直に描きとばした結果、誰も想像もしえなかった、独自な表現の境地に到達した」ということでしょうか。
 まあ、この絵を見れば見る程、頭が混乱してきますので、ほとぼりが冷めて、考えがもしも、まとまるようなことがあれば、加筆訂正したいと思います。(いつのことになるかはわかりませんが…。)



・備考
 貸本。ビニールカバー剥がし痕あり。本体やカバーの歪み、激しい。釘にて綴じ。

2018年9月29日 ページ作成・執筆

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