さがみゆき「鬼火の棲む家」(1972年2月20日発行)

「十六才の美津江は、村はずれの林の中にある阿部屋敷に女中として勤めることとなる。
 よそ者の美津江は知らなかったが、阿部屋敷は別名「鬼火屋敷」とも呼ばれ、村人は誰も近寄ろうとしなかった。
 その屋敷には母親とその娘、お品。それから、年老いた女中のお藤と粗暴な使用人の辰吉の四人が暮らしていた。
 美津江が屋敷に参った初日、美津江は庭にある井戸の飛び込もうとして、お品が辰吉ともみ合うという騒動が起きる。
 とりあえず、落ち着いたお品は美津江を見ると、彼女のことを民江と呼び、「もうどこにもいかないでおくれ」と、すがりつく。
 母親にお品の気の済むようにと言われた、美津江だったが、お品はわざと美津江のことを民江として扱っているふしがある。
 また、美津江はお藤から屋敷のことをあれこれ詮索しない方がいいと忠告を受ける。
 お藤は、最後に「この家のひみつをしれば…この庭の古井戸の上に鬼火が燃える」と謎めいた言葉を付け加える。
 その言葉が気になり、好奇心から美津江が庭の古井戸に近づくと、突如、獰猛な犬に襲われる。
 それはこの家の番犬で、どうにか屋敷の中に逃げ込んだものの、美津江はこの屋敷から逃げることができないことをお品から知らされる。
 お品は自分も幽閉の身であることを明かし、美津江だけはこの屋敷から絶対の逃がすと誓う。
 ただし、それまでこの屋敷の秘密を探らないよう、言い残すのであった。
 その後、徐々に明らかになるお品の秘密…お品は自分の身体は私一人の生命ではないと言うのだが…。
 そして、雨の夜、美津江は古井戸の上で鬼火が燃えるのを見ることとなる…」

 貸本からの再録ですが、大幅に加筆訂正されております。

「p13(セリフ一部変更)、pp19〜28(貸本のpp14〜18を加筆訂正)、pp31〜36(貸本のpp21・22を加筆訂正)、pp41・42(貸本のpp26を加筆訂正)、p46(追加)、p47(セリフ変更)、p68(追加)、pp79・80(追加)、p84(追加)、p91(追加)、p95(「とてもこわかったお話」)、pp102・103(追加)、pp119・120(貸本のp95を加筆訂正)、pp134〜147(追加)、pp151・152(セリフ変更)、pp156〜175(貸本のpp117・118を加筆訂正)、p176(セリフ一部削除)、pp181〜183(追加)」

 この他、細かいところで変更があるのかもしれませんが、もう面倒くさくなったので、勘弁してください。
 pp133→p134のようにうまくつながらない部分が幾つかあるのが難点ですが、貸本よりも内容は充実しております。
 お品様の正体(貸本では文字の説明だけで済ましています)や、燃え盛る屋敷でのシーン等、黒枠の単行本で加筆されたもので、読むならこちらの方が楽しめると思います。
 ヒバリ・ヒット・コミックスでも再録されておりますので、簡単に読めるのもポイント高いですね。

・備考
 貸本。ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。小口に大きなシミあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と数字の書き込みあり。

2016年1月19日 ページ作成・執筆

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