高園寺司「吸血女バイオレット」(1974年12月10日発行)

「四月十八日、五城中学の生徒、山形健は植物採集に来た際、山で迷う。
 一人の青年と出会い、道を尋ねるが、彼はそれには答えず、健のことを次々と当てる。
 青年は未来の健だと話し、彼の首には、健と同じ、花形のアザがあった。
 だが、青年は自分の過去は、キャンパスに描かれた洋館の絵のように燃えてしまい、失われてしまったという。
 そして、この日、健がこの秘密を解くことになっていると話す。
 また、母親の命日でもあるこの日に父親はいなくなるらしい。
 健は、絵に描かれた穴を通って、友人達のいる所に戻る。
 家に戻ると、通りで若い娘が女吸血鬼に襲われており、助けようとすると、二人とも消える。
 その場所には、すみれの花束が落ちていた。
 そこに健の父親が現れる。
 父親は水兵(?)のような服を着ており、婆やは出て行ったと告げる。
 立ち去ろうとする父親に声をかけるが、振り向いた父親は若返っていた。
 父親は健の父親であることを否定し、自分はバイオレット号の船長だと話す。
 出航まで時間がなく、父親は健を押しのけ、港に向かう。
 健が港に着いた時は船は出向した後で、彼が途方に暮れていると、婆やが現れる。
 婆やは、健の父親は人殺しだと教える。
 彼の最初の妻、すみれとも子が病死した後、すみれもと子という女性と再婚していた。
 婆やが健に絵を見せると、父親がもと子を殺害する現場が再現される。
 婆やは健にとも子ともと子の墓の場所を教えるが、急に吸血鬼となって襲い掛かってくる。
 その時、すみれの花束が飛んできて、婆やはダウン。
 彼を助けたのは、家の前で吸血鬼に襲われていた娘であった。
 彼女は彼は自分の「運命」で、彼と結婚する女だと話す。
 彼女の名は「バイオレット」らしいのだが…。
 謎が謎を呼び、迎えるラストとは…?」

 ひばり書房黒枠単行本を代表する一作です。
 昔からそのスジでは高名で、プレミアがついていることでも知られております。
 さすがに手に入らず、ある御方からお借りして、ようやく読むことができました。
 初っ端からワケがわかりませんが、後半に差しかかると、加速度的に混迷の度を深め、迎えるラストは唖然です…。
 確かに、皆が口をそろえて言うように、理解不能でした!!
 でも、これに五万円以上の大枚をはたくのはちとキツいかも…。
 某専門店M様によって、復刻されるよう心よりお祈りしております。(注1)

・注1
 黒枠単行本は割れやすく、大きく開いて読めないので、復刻版で思いっきり読みたい。
 復刻の際には、「呪いの村」もお願いいたします。

・備考
 ある親切な方から貴重な御本をお借りいたしました。本当にありがとうございます。借りたものですので、問い合わせをされましても、答えられないことが多いと思います。ご了承ください。

2022年8月16日 ページ作成・執筆

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