杉戸光史「妖怪夜泣き赤子」(1974年9月25日発行)


「双子の姉妹、島村祐子と景子に、男友達の哲也は、瀬戸内海の小さな島、夜泣き島に旅行で訪れる。
 夜泣き島の中央にある丘の天辺には神社があり、そこには「夜泣き石」が祀られていた。
 その昔、この島の海辺には、年を経た巨大な海亀が棲んでおり、人間を好んで喰らっていたという。
 そこで、無円という旅の行者が法力でこの海亀を石に変えたが、その怨念の呻きは夜な夜な響き渡ったというのが、その由来であった。
 夜泣き石を前に、伝説だとバカにする祐子達であったが、突如、夜泣き石が泣いているような音をたて始め、石の表面に海亀の妖怪の顔が浮かび上がる。
 祐子達は怯えて、神社から逃げ、東京へと戻る。
 数日後、哲也の妹とカクレンボウをしていた景子は、公園の草むらで夜泣き石を目にする。
 ちょうど通りがかった祐子と哲也は、景子の悲鳴を聞いて、その場に向かうが、夜泣き石は影も形もなかった。
 その夜、寝ていた祐子は、呻き声で目を覚ます。
 すると、部屋の中には夜泣き石があり、石の表面には悶え苦しむ景子の顔があった。
 実は、その石は、海亀の妖怪の甲羅であり、妖怪は祐子にも襲いかかる。
 間一髪で妖怪から逃れた祐子は、両親を呼ぶが、そこに妖怪の姿はなかった。
 その代わり、景子の姿が消え、景子のベッドには、彼女と同じ特徴を持つ赤ん坊が寝ていた。
 母親は、失踪した景子の代わりに、その赤ん坊を育てることに決める。
 だが、その赤ん坊は海亀の妖怪が化けたものであり、人に抱きついては、その人物を石に変えてしまう。
 海亀の妖怪は、祐子の友人や家族を石に変え、彼女を徐々に追い詰めていく。
 切羽詰まった祐子は、妖怪に関する手がかりを求めて、夜泣き島を再訪する…」

 ストーリーは相変わらず「ワン・パターン」かつ「御都合主義」なのですが、海亀の妖怪の描写や、妖怪が人を襲う描写を頑張っております。
 ただ、どうも「デビルマン」に出てくる「ジンメン」の影響があるようですが…。(確認を取ってませんので、一応、推測ということで。)
 このマンガに出てくる妖怪、亀のくせに、やたらすばしっこいのが印象的です。
 特に、二足で逃げ出す描写は、「トムとジェリー」のような感じで、脱力しました。(上右側の画像を参照のこと)
 それから、この単行本には本編の後に、杉戸光史先生の宣伝コーナーがあります。
 こっちの方が本編より面白かったです…すんません…。

・備考
 カバー痛み、裏側の下に欠損あり。下隅に目立つシミあり。

2017年4月7日 ページ作成・執筆

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