古山寛「秘境の少女」(220円/1966年7月頃完成)
「ある雨の夜、逃亡中の強盗犯達と、人質の少女。
強盗犯はボス、その情婦、拳銃を持った粗暴なチンピラ、下っ端の青年の四人だった。
彼らは土砂崩れに巻き込まれ、車を捨て、山の中に逃げ込む。
山の中で洞窟を見つけるが、そこは地蔵が立ち並んだ、不気味な所。
そこで仕方なく過ごしていると、一人の少女がお参りにやって来る。
彼らは少女の案内で、吊橋の向こうの、人里離れた部落へとやって来る。
天候が荒れ模様で、しばらくここに滞在するしかない強盗犯達。
が、ボスが入浴中に短刀を喉もとに突き立てられ、死亡。
その夜、強盗犯達を含めて、村人達が村長の家に集められる。
真犯人を明らかにするため、村の宝である御神刀を皆、腕に当てていく。
そして、罪のあるものは苦悶の後、死んでしまうという伝えだが、実際、チンピラは苦しみ悶えて死んでしまうのだった。
しかし、悲劇はこれにとどまらない…」
若木書房で出版された、古山寛の「少女スリラーシリーズ」は全て水準以上の出来の佳作揃いです。
個人的には「伝奇ロマン」の元祖とみなしていいのではないか…と考えております。
この作品は、逃亡中の強盗犯、山奥の中の隠れ里、鬼女の伝説、罪あるものを罰する御神刀、そして、次々と起こる殺人事件…と、ミステリーの要素をうまく伝説と絡み合わせ、貸本マンガにしては本格的なものとなっております。
埋もれさせておくには、非常に惜しい作品であります。復刻が望まれます。
・備考
カバーに若干痛みあり。背表紙若干色褪せ。
平成27年2月4日 ページ作成・執筆