鳥海やすと「鬼ぇ門のつぼ」(200円/1964頃)



「江戸に住処を探す柿兵と、その娘、お夏。
 彼らが破格の値段で見つけた住居は、つぼ作りの天才と謳われた鬼ぇ門のものであった。
 だが、条件として、鬼ぇ門の面倒を看なければならない。
 同じくつぼ作りを生業とする柿兵はその家に住むことを願うが、長八郎という浪人に先を越されてしまう。
 しかし、柿兵はあきらめきれず、鬼ぇ門の家で四人の共同生活が始まる。
 この鬼ぇ門という老人は、高貴な家柄の娘を養子に貰い受けるが、皆失踪してしまい、独り老いさらばえた「恍惚の人」。
 何も食べず、布団に臥せってばかりで、何を考えているのかさっぱりわからない。
 ある夜、お夏と長八郎は、鬼ぇ門の部屋にある、水仙、梅、菊の花がそれぞれに描かれた三つの壷から煙のようなものが出て、鬼ぇ門がうなされているのを目にする。
 また、離れにある壷焼きのかまどから、お夏は人の悲鳴のような音を聞く。
 そんな中、鬼ぇ門は、お夏達の気が付かないところで起き出しては、ひそかに壷を作り上げる。
 そして、鬼ぇ門を陰から見張る長八郎。
 知られざる、鬼ぇ門の恐ろしい秘密とは…?」

 面白いと思います。
 この作品も「女の子キャラ」が可憐で、それだけでも充分見応えあります。
 私は絵心のない人間なので、見当違いな意見かもしれませんが、キャラの可愛さだけでなく、「構図」やキャラの「ポーズ」が巧みで、今現在でも新鮮な感じがします。

・備考
 カバーなし。鋲綴じ。本文、目立つシミ多々あり。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。

2017年3月2・3日 ページ作成・執筆

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