稲垣美佐緒「猟奇伝説アルカードA」(1996年8月18日発行)

 人生相談所の看板のかかる館。
 そこには、アルカードという謎の男と、召使いのレンフィールドが住んでいた。
 アルカードは、相談者の持つものと引き換えに、どんな願いでも叶えてくれる。
 しかし、その結末とは…?

・「第8話 幻の美貌」
「秋子という名の、美しい妊婦が、アルカードのもとを訪れる。
 彼女は、元モデルの美人であった。
 最近、彼女の美貌に衰えが目立つようになり、彼女は、自分のように美しい子供を望む。
 しかし、夫は優しいが、顔がいいとは言い難く、イケメンの男性に乗り換えるため、お腹の子が邪魔になる。
 秋子は中絶を希望し、アルカードは、お腹の子供を自分にくれるという条件で、彼女の身体から赤ん坊を取り出す。
 その後、秋子は、イケメンの男性と再婚し、子供を出産。
 だが、その子は、彼女とは似ても似つかない女児であった。
 三年後のある日、秋子にそっくりな娘が、秋子を訪ねてくる。
 娘は、彼女がアルカードに引き渡した、お腹の子であった…」

・「第9話 言葉の絆」
「無口な陰気な男子高校生、沢木。
 彼には両親も友達もなく、孤独であった。
 三か月前、彼は、自分に超能力があることに気付く。
 それは物をテレポートさせたり、人の心を読むという能力であった。
 彼はその能力を復讐のために使い、もっと能力を強くしようと放課後、練習に励む。
 だが、彼に想いを寄せる女子高生、石井は、彼の超能力を知り、彼が人を傷つけないよう諭し続ける。
 ある日、石井が休み、彼は、授業をさぼって、超能力の練習に出かける。
 見かけた母子に石をぶつけようとしたところ、石が母親の体内にテレポートし、母親は死亡。
 以来、彼は、幸せそうな人物を超能力を使って、殺害していく。
 そんなある日、彼は、公園で、奇妙な男性に出会う。
 彼はその男の心をどうしても読むことができず、念のため、殺そうと考えるのだが…」

・「第10話 永遠の眠り」
「21歳の真美は、最近、結婚したばかり。
 夫の健一は、鈍いけれども、彼女を心から愛してくれ、病気の母親の面倒も積極的に看てくれる。
 だが、彼が、彼女に内緒で三千万円も借金していることが明らかになり、遂に、ブチ切れて、アルカードのもとにやって来たのであった。
 話を聞いたアルカードは、健一を殺し、その保険金を借金の返済に充てることを提案する。
 そして、夫を殺す条件に、彼女の「睡眠」を要求する。
 その条件を飲んだものの、以来、真美は決して眠れなくなる。
 不眠に耐えかね、アルカードの館を訪れるものの、アルカードが寝ている間は起こさないというのが決まりであった。
 仕方なく、睡眠薬をもらいに、母親の家に行った時、彼女は意外な事実を聞かされる…」

・「第11話 腐った内臓」
「アルカードの館を訪れる「内蔵売り」の男。
 彼はしつこくアルカードに絡むが、持ってくる内臓はどれも使い物にならないものばかり。
 また、家庭では、女房に逃げられ、子供達を相手に八つ当たりをしまくる、DV野郎であった。
 でも、彼の娘は、彼が内臓の病気で、病気が治れば、優しい父親に戻ってくれると信じる。
 ある時、彼は、自分の娘を、アルカードに売りつけようと考える。
 娘は、父親の売っている内臓を全部買うことと引き換えに、アルカードから内蔵を全て奪われる。
 これに味をしめた男は、今度は、年少の息子をアルカードのもとへ連れて行くのだが…」

・「第12話 二度死んだ男」
「進一は、恋人の綾子が交通事故と聞き、病院へ急ぐ。
 途中、見知らぬ青年に襲われ、心臓を一突きされるが、そこはちょうど、アルカードの館の近くであった。
 アルカードは進一の霊に、一週間、心臓を貸して、生き返らせる代わりに、手足をくれるよう提案する。
 生き返った進一は病院へと駆け付け、重篤な状態の綾子のため、輸血に協力する。
 手術は成功するも、綾子の意識はなかなか戻らず、進一は気を揉みながら、時間だけが過ぎる。
 アルカードとの約束の最終日、綾子は意識を取り戻すが、彼女の口からは意外な言葉が…」

・「第13話 小悪魔のいたずら」
「アルカードの友人(?)、ミーナ。
 彼女は外見は少女で、好物の魂を食べることで、若返っていた。
 そして、彼女は、アルカードの魂を食べようと画策する。
 そのために、彼女が目を付けたのは、和彦という青年であった。
 彼は、兄と母と三人暮らしをしていたが、ある日、母親が何者かに襲われるところを目撃する。
 急いで現場に駆け付けたものの、母の死体は消え、以来、家に帰ると、母親の幽霊の声に悩まされるようになる。
 ミーナは彼に亡霊の言葉に耳を傾けるようアドバイスし、和彦が耳を澄ますと、どうも殺人者に恨みを抱いているらしい。
 彼は、ミーナに案内され、アルカードの館の地下室に向かう。
 そこには、母親の死体があり、胴体は無惨にえぐられていた。
 ミーナは彼に、母親を殺した犯人はアルカードだと言い、アルカードを殺すよう唆す(そそのか・す)のだが…」
(「恐怖の館DX」1996年5月号〜10月号掲載)

2020年1月1日 ページ作成・執筆

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