稲垣美佐緒「猟奇伝説アルカードB」(1997年9月6日発行)

 「人生相談所」の看板のかかる館。
 そこには、アルカードという謎の男と、召使いのレンフィールドが住んでいた。
 アルカードは、相談者の持つものと引き換えに、どんな願いでも叶えてくれる。
 しかし、その結末とは…?

・「第14話 有能な召使い」
「女子高生の優子は、可愛かったが、非常にわがままな娘。
 それが原因で彼氏に別れを告げられ、彼女は、何でも自分の思い通りになる召使いが欲しいと思う。
 アルカードの館の噂を聞いた彼女は、彼女に首ったけのブ男に、ある頼みごとをする。
 それは、アルカードの召使、レンフィールドを自分の召使にするよう、アルカードに頼んでほしいというものであった。
 アルカードは、ブ男の三十年分の若さと引き換えに、その頼みを承諾し、レンフィールドは渋々ながら、優子の召使いとなる。
 優子はレンフィールドを使って、男友達を作りまくるのだが…」

・「第15話 二つの薬」
「ミーナの召使いであり、アルカードの侍医でもあるアントン。
 彼は、病気のアルカードの代わりに、和志という男の子の依頼を聞くこととなる。
 彼は、近所に住む、恵という女性に想いを寄せていたが、彼女は、夫が女と逃げ、そのショックで流産した過去があった。
 恵を守るため、彼は早く大人になりたいと願い、アントンは彼のために、年をとる薬を調合する。
 しかし、この件にはミーナが絡んでおり、彼女は、アルカードに、年をとる薬を飲ませようと画策していた。
 彼女はこっそり、アルカードの飲む鎮痛薬を、年をとる薬にすり替える。
 一方、和志は、恵が再婚するという知らせにショックを受け、彼女を若返らせたいと考えるのだが…」

・「第16話 だまされる男」
「大助は、偽物の宝石を売って歩く、チンケな詐欺師。
 天涯孤独の身で、まともな仕事に付く気もなく、借金はたまる一方。
 ある日、彼は、公園で、アルカードと老婆の会話を耳にする。
 アルカードは老婆の願いを叶えるのと引き換えに、彼女の右目を摘出し、その場を去る。
 大助が老婆の後をつけると、いい家に一人で住んでいた。
 彼は、これをチャンスと考え、アルカードに扮して、老婆の家を訪れる。
 そして、願いが叶うと言って、偽物の宝石をどんどん売りつけるのだが…」

・「第17話 死体の館」
「中川は死体専門のカメラマン。
 毎日、事故現場を求めて奔走するも、滅多にそういう場面には出くわさない。
 ある日、彼は、同僚の杉山から「死体の館」の話を聞く。
 アルカードという男に、身体の一部を渡せば、連れて行ってくれるらしい。
 二人はアルカードのもとを訪れ、腕の皮膚の一部と引き換えに「死体の館」のある場所にテレポートする。
 その中は、無惨な死体が幾つも転がる部屋であった。
 しかし、写真は少ししか撮れず、しかも、中川はカメラの中にフィルムを入れ忘れていた。
 そこで、彼は杉山のフィルムを盗み取り、知らん顔をする。
 中川はもっと死体の写真を撮りたいと願うのだが…」

・「第18話 もう一人の自分」
「美保は、凄い美人で、かつ、強欲。
 彼女には結婚したい相手が二人いた。
 一人は金持ちだが、容姿は冴えない研二。
 もう一人は、容姿は彼女好みだが、金は普通の拓一郎。
 どちらか決めかねて、彼女はアルカードに、自分をもう一人作るよう願う。
 アルカードは代償に彼女の肉を要求し、美保はもう一人の自分から取るように言う。
 美保は、もう一人の自分を利用すれば、いくらでも願いが叶うことに気付き、拓一郎を金持ちにするよう願う。
 彼女は、研二をふって、拓一郎と結婚し、贅沢三昧の暮らしに明け暮れる。
 一方、もう一人の彼女は地下室に監禁され、彼女が願いことをする度に、身体の一部を奪われていた。
 しかし、もう一人の自分が利用できなくなった時…」

・「第19話 アルカードの研究」
「ある医者が、意識不明のアルカードを発見し、自分の病院へ運ぶ。
 彼がアルカードの身体を調べると、異常な点ばかりで、どうして生きてられるのか、さっぱりわからない。
 試しに、他人の皮膚をアルカードの身体に乗せると、皮膚が身体に同化し、衝撃を受ける。
 意識を取り戻したアルカードに、医者は身体を研究させてくれと頼むが、アルカードは一日しか許可してくれない。
 一日はあっという間に過ぎ、途方に暮れる彼の前に、ミーナが現れる。
 彼女は彼と話をしているうちに、アルカードを殺す方法を思い付くのだが…」
(「恐怖の館DX」1996年11月号〜1997年3月号、7月号増刊に掲載)

2020年1月2日 ページ作成・執筆

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