稲垣みさお「猟奇伝説アルカード 漆黒の真実編」(1999年7月10日発行)

 「人生相談所」の看板のかかる館。
 そこには、アルカードという謎の男と、召使いのレンフィールドが住んでいた。
 アルカードは、相談者の持つものと引き換えに、どんな願いでも叶えてくれる。
 しかし、その結末とは…?

・「今と昔の自分」(「月刊恐怖の館デラックス 1998年5月号」掲載)
「小学生の須賀洋一は、超能力を持っており、幼い頃から、感情的になると、人を傷つけてしまう。
 両親は彼を危険視するが、姉の美鈴(19歳)だけは彼に異常なほどの愛情を注ぐ。
 ある日、両親は彼を施設に入れようとするも、逆に、彼の超能力で殺されてしまう。
 姉の悲しみを目の当たりにした洋一は、能力を封印し、普通の男の子として成長する。
 六年後、彼は高校生となるが、姉は、彼に異常なほど、執着するようになっていた。
 洋一は、両親の死を阻止するため、何度も過去へととぶが、どうしても、過去の自分のパワーに太刀打ちできない。
 そこで、彼はアルカードのもとへと向かい、過去を変えてもらおうとする。
 しかし、アルカードは脳をやられ、かなり衰弱していた。
 そこで、アルカードは、洋一に過去に行き、過去のアルカードに頼むよう、提案する。
 洋一は、過去に移動し、過去の自分の能力と引き換えに、アルカードに、両親の死を阻止してもらう。
 これで未来が変わると洋一は喜ぶが、思わぬ陥穽があった…」

・「おじいちゃんのピエロ」(「月刊恐怖の館デラックス 1998年4月号」掲載)
「勇太はいじめられっ子。
 彼の唯一の心の拠り所は、祖父であったが、彼は施設へと入れられてしまう。
 祖父は、自分の代わりにと、勇太に、ピエロの人形を渡す。
 この人形は、祖父が子供の頃、好きな女の子にもらった宝物であった。
 一人ぼっちの勇太が、ピエロの人形に話しかけると、人形が返事をする。
 実は、この人形には、ルゴシという、ミーナの元・召使いの魂が封印されていた。
 ミーナと再会したルゴシは、勇太にいじめっ子達を殺させて、その魂を食べていく。
 一方、勇太の祖父は、アルカードのもとを訪ねて、ある願い事をする…」

・「永遠の友情」(「ホラーウーピー 1999年春号」掲載)
「明るいユーキ、秀才の勉、内気な守の三人は幼なじみ。
 三人で卒業旅行をしている時、彼らは、道で倒れているアルカードを発見する。
 アルカードを別荘まで車で送ると、アルカードはお礼として、三人の願いを叶えてくれると言う。
 三人の願いはそれぞれ叶えられるのだが、果たしてその結末とは…?」

・「回想」(「月刊恐怖の館デラックス 1998年6・7月合併号」掲載)
「ある時、アルカードはレンフィールドに、自分とミーナとの出会いについて話す。
 何十年も昔、ミーナは、優しい両親と共に、幸せに暮らしていた。
 ただ、両親から外の世界は危険だからと聞かされ、彼女は屋敷の外へは決して出してもらえない。
 ある日、彼女は中庭でアルカードと出会う。
 アルカードは、毎日、人を殺して過ごす、超能力者であった。
 彼と出会ったことで、ミーナは外の世界に興味を持つ。
 日頃から彼女に反感を抱いていた召使の少年は、それに目を付け、彼女をアルカードのもとへと連れて行く。
 それから毎日、彼女はアルカードと共に過ごすようになり、開放感を満喫し、また、彼に対して恋心を募らせていく。
 しかし、ある日、彼女は、自分が何故、監禁生活を送っていたのか、その理由を知る。
 彼女は、最後に一目、彼に会おうとするが、それが彼女やアルカードの運命を大きく変えることとなるのであった…」

 
2020年1月8日 ページ作成・執筆

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