神田森莉「墓場教室」(1997年9月6日発行)

 東京にあるマンモス校、仲良中学校。
 近くの中学校と合併した際、隣の墓地を半分潰して、その上に教室を作る。
 以来、その1年13組の生徒は必ず恐ろしい目にあい、卒業までに大半が死亡する。
 生徒達はこの呪われた教室を「墓場教室」と呼んでいた。
 このクラスの学級委員は、開校以来の天才の白土一平と伊賀の忍者の子孫である樺まるこ。
 このコンビが遭遇する怪事件とは…?

・「ゾンビ中学生」(「恐怖の館DX」Vol.31)
「ある日、武内直美という女生徒が、一平とまるこに相談事をする。
 彼女の親友、亜月史子は家出したことになっているが、この前、学校横の墓地で見かけたと言う。
 史子の姿はやつれて、ゾンビのようであった。
 その夜、二人は墓地の横の茂みで張り込みをする。
 どこからか麻酔の香りが流れてきて、二人は昏睡。
 そこに現れたのは理科部部長の矢追新一で、彼は墓場に細工をして、その中でゾンビを飼っていた。
 毒物に耐性のあったまるこは意識を回復するも、矢追に逃げられる。
 矢追新一が落としていったキュウリを一平が食べると、ゾンビとなる。
 保健室の清原みるくによると、このキューリは「ゾンビキューリ」で、中南米でゾンビを作る時に使うものなのだが…」

・「死神交響曲ドレミファソラ死」(「恐怖の館DX」Vol.35)
「音楽の米戸辺先生。
 彼の作る音楽は「バーチャルリアリティ音楽」で、最初は気持ち悪いが、そのうちに夢の世界にいるような感じになる。
 彼は悪魔に魂を売り渡し、命がけで「死神交響曲」を作曲する。
 それは「人間楽器」を使って作曲され、拉致された生徒達は楽器に改造された挙句、無残な死を遂げる。
 まるこは米戸辺に夢中で、音楽室に忍び込むと、まさに彼が最終楽章を作曲するところであった…」

・「透明まるこ」(「恐怖の館DX」1995年12月号)
「ある日、まるこは、花形満ちる、つげ、辰己の三人を学校の中庭で目撃する。
 花形が、水木という学者から盗み出した「透明クリーム」を猫に塗ると、猫は透明になる。
 まるこは水木研究所に忍び込み、透明クリームを盗み出そうとする。
 ところが、少し塗っただけで凄い刺激があり、あきらめた直後、透明クリームの入った壺に落ちてしまう。
 彼女の身体は徐々に透明になり、彼女は一平に相談するのだが…。
 その頃、スノーマスクをかぶった水木は満ちる達三人を殺害し、次にまるこの命を狙っていた…」

・「学校百億不思議」(「恐怖の館DX」1996年4月号)
「まるこの入学当時のお話。
 初日早々、遅刻したまるこは校門に入った時、バナナの皮を踏んで転倒、失神する。
 彼女は一平によって保健室に運ばれるが、夢の中で、骸骨が「この学校へ入ってはなんねえ」と彼女に告げる。
 クラスメートによると、学校を改築して以来、異常に霊現象が起こるようになり、「学校百億不思議」とまで呼ばれていた。
 実際、「トイレの花江さん」「体育館でのボールの音」「死を呼ぶ13階段」の噂によって、生徒達が次々と変死。
 学級委員のまること一平は心霊現象の原因を明らかにしようとするのだが…」

・「学校百億不思議 完結編」(「恐怖の館DX」1996年8月号)
「まるこ、梅図、さやか、一平の四人は夜の学校に忍び込んで、「百物語」をすることになる。
 始める前、学校に悪魔が出るという噂について話していると、トイレから戻ってきたさやかが「ハラハラ時計」を手にして戻ってくる。
 これは「時間が来ると風船が爆発するオモチャ」で、学校に落ちていたらしい。
 まるこは話をしている間は、ハラハラ時計を持つというルールを提案し、百物語が始まる。
 百話目に近づくにつれ、風船は膨れ上がっていき…」

・「自殺新聞」(「恐怖の館DX」1996年10月号)
「まるこの学校では自作の新聞を勝手に発行することがブームになる。
 まるこは新聞部の印刷機を使って大量に刷ろうと考えるが、数年前に廃部になった新聞部部室は妙に気味が悪い。
 まるこはあきらめて、部室を後にするが、翌日から学校の掲示板に「自殺新聞」なるものが張り出される。
 これは誰にも触れられたくない秘密を記事にしたもので、秘密を暴露された生徒は悲嘆のあまり自殺してしまう。
 一平とまるこは自殺新聞を作っている人物を特定しようとして、掲示板の前にカメラを仕掛ける。
 写真に写っていた人物とは…?」

・「ドッペルまるこ」(「恐怖の館DX」1997年2月号)
「まるこに関する悪い噂が多く立つ。
 そればかりか、彼女は母親を殺した犯人として逮捕されそうになる。
 一平の機転で逮捕は逃れたものの、ある日の下校時、一平はまるこの様子がおかしいことに気づく。
 この時のまるこはボディコンで、酒をかっ喰らってディスコでフィーバーし、更には、塾帰りの小学生に絡んで、殺害してしまう。
 一平は、まるこのドッペルゲンガーが夜な夜な悪事をしているのではないかと保健室の清原先生に相談する。
 その夜、一平はまるこの寝室に泊まり込んで、何が起こるのか確かめようとするのだが…」

・「まるこ対墓場教室」(「恐怖の館DX」1997年4月号)
「親戚のもとに行くため、まるこが転校してから二か月。
 1年13組では生徒が次々と不審死して、生徒が半分になってしまった。
 ある日の授業、墓場教室がその正体を明らかにする。
 偶然、まるこはペットのモルちゃんと取りに来ており、墓場教室との対決を決意。
 彼女は命綱をつけて、墓場教室へと入っていくのだが…」

 神田森莉先生の作品はあまり人にお勧めできないものだらけですが、「墓場教室」は「スプラッター・ギャグ漫画」として割と親しみやすいのではないでしょうか?
 どのエピソードもいい塩梅の「バカらしさ」(褒めてます)で、ムチャクチャなストーリーにワヤクチャな人体破壊描写が豪快に捻じ込まれる様は唯一無二の「神田ワールド」です。
 また、この作品のヒロイン、樺まるこの底抜けの明るさも、作品の躁状態を加速させ、えぐい残酷描写まみれなのにほとんど陰湿さを感じさせません。
 個人的には、酒を飲みながら読むのに最適の一冊です。

2022年8月25・26日 ページ作成・執筆

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