日野日出志「恐怖ギャラリー」(1998年7月2日1刷発行)
・「恐怖ギャラリー」
「作品No.1 黒の恐怖」(「恐怖の館DX」1997年11月号)
所田市ではカラスが大量発生していた。
三人の男子小学生は、廃屋のビルにカラスが巣を作っているのではないかと聞き、放課後、カラスの後を追う。
カラスの群れは一直線に町はずれの丘に向かっていた。
町はずれの丘の向こう側は、ニュータウンの建設が予定されており、整地されていた。
しかし、そこには町の廃墟が広がっていた。
三人は恐る恐るその廃墟に足を踏み入れる。
そして、ビルの廃墟の中で多くの巨大な卵を目にするのだが…。
「作品No.2 青の恐怖」(「恐怖の館DX」1997年9月号)
小学校への通り道の途中に、青沼という気持ちの悪い沼があった。
少女は、その沼で猫の死体を見てからというもの、毎夜、沼に男の子の腐乱死体が浮かぶ夢を見る。
そして、ある夜、夢から覚めた少女の目の前に、少年の幽霊が現れる。
悲鳴を聞きつけ、両親が少女の寝室に駆けつけると、床には水たまりと藻が落ちていた。
両親は少年について心当たりがあるようなのだが…。
「作品No.3 赤の恐怖」(「恐怖の館DX」1997年7月号)
赤い色に異常な恐怖を感じる少女。
彼女は赤色を見る度に、決まって血まみれな幻想を視る。
精神科医は彼女の恐怖の原因を探ろうと、ある機械で彼女の脳内映像を見る。
それには彼女の子供時代が映し出されていた。
彼女の母親は赤い服、赤い爪、赤い口紅で装い、少女も赤い服を着て外出する。
だが、変質者に襲われ、母親は八つ裂きにされてしまう。
記憶を取り戻した少女は…」
「作品No.4 白の恐怖」(「恐怖の館DX」1998年1月号)
初詣から帰る途中の一家(両親と兄妹の四人)。
彼らは猛吹雪に襲われ、全く視界がきかなくなる。
こんな状態で車を走らせることはできず、父親は一人、最寄りの町に救助隊を呼びに出ていく。
しかし、15分で帰るはずが、一時間半経っても、帰ってこない。
エンジンが停止したため、母親は父親を捜しに出る。
車には兄妹が残されるが、外から窓を叩く音が…。
「作品No.5 灰色の恐怖」(「恐怖の館DX」1998年3月号)
灰谷日出世は外科の権威で、所田医学大学病院の学長。
ある朝、彼が目覚めると、世界は色を失い、モノクロームになっていた。
眼科でも脳神経科でも原因はわからず、休養を勧められるが、世界外科医学会議が迫っているため、休むわけにはいかない。
だが、彼はノイローゼ気味になり、自分の血の色を確かめようと、メスで身体を切り刻み…。
「作品No.6 緑の恐怖」(「恐怖の館DX」1998年3月号)
緑川大樹という少年は近所の公園の大木に登るのが好きであった。
ある日、彼は枝から転落し、頭頂部に怪我をする。
ただの外傷だけであったが、三日後、その傷から芽が生えていた。
医者が調べると、傷から植物の種が入り込んだらしく、芽は脳にびっしり根を張っていた。
更に、この根は食虫植物で、餌をあげると、少年も元気になる。
しかし、植物は少年の身体中に根を伸ばしていって…。
「作品No.7 黄色の恐怖」(「恐怖の館DX」1998年4月号)
ヒヨコの飼育業者の男性。
ある雨の日、彼は運搬中に園児の列に突っ込み、引率の主婦と園児三人を死なす。
彼はその場から逃走するが、目撃者はおらず、トラックは山奥の沼に沈め、足がつく恐れはない。
だが、ヒヨコを見る度に、黄色から園児服を連想し、奇怪な幻想に苛まされることになる…。
・「地獄沼」(「サスペンス&ホラー」1996年9月増刊)
「祟りがあると言われる地獄沼。
昔、このあたりは水葬で、沼の底は骨や死体で埋まっていると言われていた。
夏、三人の少年が地獄沼に釣りに出かける。
一人の少年の浮きに反応があり、どうも大物らしい。
三人がかりで引っ張り上げると、腐乱死体の舌に釣り針が引っかかっており、死体は笑い声をあげる。
少年達は逃げようとするのだが…」
・「蛞蝓少女」(「サスペリア」1997年7月号)
「滑川という少女は「なめくじ女」と呼ばれて、いじめられていた。
梅雨のある日、教室で彼女はいじめっ子三人組に大量の石灰をかけられる。
すると、彼女の身体は溶け、跡形もなくなってしまう。
その後、いじめっ子達は薬品を浴びたり、風呂で煮られたりして、身体が溶けて死んでいく…」
2023年2月14・16日 ページ作成・執筆