小野双葉「髑髏のはらわた」(1994年9月6日発行)

・「Vol.T マイ・ホーム・タウン」(「恐怖の館DX」VOL.1)
「乾一家は両親と娘の真智子(中学二年生)の三人家族。
 父親は対人関係のトラブルで、しばしば仕事を変え、そのたびに一家は引っ越しをする。
 毎度毎度のことで、真智子は新しい町に来ても、何の感動もなく、どの町も「少し変でほとんどが退屈」と冷めていた。
 だが、この度の石神市はかなり様子が違う。
 市に来た初っ端から、二人死亡する交通事故を目撃。
 中学校では、座った席は、亡くなった女生徒の席で、しかも、小学生の男児に「人殺し」呼ばわりされる。
 男児はあちこちでそんなことを言っているらしく、特に、妊婦に対して激しく当たる。
 いろいろあっても、日々は過ぎていき、真智子は町に愛着を持ち始める。
 だが、父親は早速、上司と衝突して、先行きは不透明。
 一月後、夕食の際に父親は会社を辞めると宣言し、タバコを買いに外に出る。
 すると、父親が重傷を負ったと警察から連絡があり、真智子と母親は病院へ向かうが…」

・「Vol.U 蠢く街」(「恐怖の館DX」VOL.6)
「前回から一月、いろいろとあったものの、真智子はすっかり落ち着いていた。
 父親は会社でうまくいくようになり、母親もすっかり町になじむ。
 ただ、真智子は、病院で目にした肉の塊の悪夢に悩まされていた。
 休日、彼女は友人の松野成美と池でボートに乗る。
 ふとしたはずみで池に転落した彼女は、水中に、骨だけの魚が泳いでいるのを目にする。
 しかも、池の底には人骨が幾つも転がっていた。  気が付くと、彼女は、町中の、階段が途中で壁に遮られている場所にいた。
 成美によると、彼女は湖から出てきて、フラフラと家に帰ったことになっていた。
 真智子は悪夢を見たのかと訝っていると、公園で絵を描く青年を見かける。
 男性の描いている絵は、彼女が池の底で見た光景と一緒であった。
 彼は今夜十一時、中央公園に一人で来れば、知りたいことを教えてあげると言うのだが…」

・「Vol.V 閉ざされた街」(「恐怖の館DX」VOL.11)
「この町の秘密を知ってしまった真智子。
 彼女は画家の森竹流(もり・たける)から町の地図を見せられ、知っていることを教えられる。
 町と「同化」すれば平和に暮らしていけるが、いずれにせよ、この町から出ることはできない。
 そんなある日、真智子のクラスに転入生がやって来ると知らされる。
 不吉な予感を感じ、彼女は警戒しながら、成美と帰宅するのだが…」

・「Vol.W 覚醒する街」(「恐怖の館DX」VOL.18)
「ある事件をきっかけに、真智子は町と戦う決意を固める。
 彼女は森竹流らと共に寺の和尚を訪ね、その旨を話す。
 和尚もこの町の秘密を知っていたが、町の人を危険にさらすわけにはいかず、「魔物」とは戦うことができなかった。
 和尚から魔除けの札をもらい、彼らは「街」の心臓部らしい、石神池の水上にある社に向かう…」

・「Vol.X 闇に消える街」(「恐怖の館DX」VOL.19)
「戦いは終わった。
 真智子達の運命は…?」

 意識を持った「街」を描いた作品です。
 設定は面白いと思いますが、ラストの戦いがあっさりしすぎて、拍子抜けしました。

2022年9月4・11日 ページ作成・執筆

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