枝松亜紀「THE FINAL DAY」(2000年5月5日初版第1刷発行)
・「THE FINAL DAY」(「ホラーウーピー」1999年夏号)
「1999年7月、東京にゾンビが発生し、大混乱に陥る。
原因は去年、日米の合同演習でインドネシアの密林に行った部隊が持ち帰った幼虫で、これが脳に達すると人間でなくなるのであった。
陸上自衛隊のトラックは生存者を救出し、基地へ戻ろうとするが、基地はゾンビにより陥落。
生存者たちは銃を奪って逃走し、トラックに自衛隊員のカズとマルタ、そして、一般市民のチカ(女子高生)とカヨコ(人妻/旦那は死亡)の四人が残される。
彼らは最後のその時まで人間らしく生きようとするのだが…」
・「END OF ALL DAYS」(「ホラーウーピー」1999年秋号)
「カズとチカが逃げ込んだオフィスビルで在日米軍のレミーとショーン(二人は夫婦)と出会う。
ビルには水道と電気が通ってはいるが、問題は食料であった。
食料が尽きた時、カズとレミーは外に出て、トラックに乗り込み、スーパーマーケットで食料を入手する計画を立てる。
トラックを奪うまでは何とかなったものの、オフィスビルのシャッターがゾンビに破られてしまい…」
・「STAIRWAY TO HEAVEN」(「ホラーウーピー」1999年冬号)
「ゾンビパニックの後、日本は完全に機能を失い、国連の援助を受ける。
東京は三メートルの隔壁で隔離され、その中では国連部隊がゾンビたちと戦っていた。
その国連部隊の基地の一つ、東部方面隊基地でマナミは女医として献身的に働いていた。
彼女の弟は自衛隊員のカズで、恐らくは生きていないカズのためにも精一杯、人に尽くそうと考えていた。
ある夜、第112小隊のヘリの一機が隔壁内の東京に墜落する。
第112小隊にはマナミの親友のリサやニックがおり、ニックは墜落したヘリに乗っていた。
マナミはリサと共に救助隊に加わり、装甲車でヘリの墜落現場に向かう…」
・「THE FINAL DAY 番外編 〜FROM THE NEW WORLD〜」(「ホラーウーピー」2000年春号)
「(「THE FINAL DAY」の前日譚)
1999年7月、さおりは自衛隊員の夫が入院したと聞き、慌てて病院に駆けつける。
単なる虫刺されとのことで、夫はぴんぴんしており、彼はさおりを安心させる。
だが、彼と同じ訓練に参加した隊員は皆、入院しており、また、さおりは拘束衣を着せられ隔離病棟に運ばれる患者を目にする。
そして、拘束衣は夫のベッドのそばにもあった。
さおりが夫に説明を求めると…」
ありそうでなかなかない「ゾンビ」をテーマにした漫画です。
動きがスピーディなようなので、ロメロ・ゾンビではなく、バタリアンの影響が強いのでしょうか?
内容はまとまっていて、出来は良いと思うのですが、個人的には「あと少し」という感想を抱いてます。
と言うのも、作者の「ゾンビ」への「こだわり」があまり感じられないから。
私は「ゾンビ」というモンスター(モンスターと言っていいのか?)が大好きで、そのために、映画にしろ漫画にしろ「ゾンビ」をテーマにした作品には作者の「ゾンビ・愛」を求めてしまうのです。(悪い癖であります。)
「愛」は良くも悪くも「こだわり」を生み、それがジャンルの幅を広げ、ゾンビものはここまでの発展を遂げました。
ただ、この作品では、巻末のあとがきに担当編集者が「東京を舞台にしたゾンビを!!」と力説した旨の記述があるように、ゾンビマニアは編集者で、枝松亜紀先生にはゾンビに対する関心はさほどなかったことが窺えます。
その思い入れのなさのため、私はこの作品がどこか薄味に感じてしまいます。(あくまで個人の感想です。)
でも、まあ、「ゾンビ・愛」や「こだわり」に溢れていても駄作はありますし、「THE FINAL DAY」のように、さほど思い入れはなくても、それなりの完成度を供えた作品もあっていいでしょう。
つまらなくはないので、「ゾンビ」好きなら、一度読んでおいて損はないと思います。
2025年11月14・16日 ページ作成・執筆