黄島点心「黄色い悪夢」(2017年11月8日発行)

 収録作品

・「断末夢」
「密平は「圧縮芸術」(布団圧縮袋等で人間を圧縮し、それを動画に撮る活動)にはまっていた。
 ある夜、彼は、恋人の房子を布団圧縮袋に入れて、窒息死させる。
 実は、彼には別に恋人がおり、房子のことが邪魔になったのであった。
 翌朝、彼女と共に房子の死体を埋めるが、その夜、何故か、その日の朝に逆戻りしてしまう。
 度重なるループの中、ループする間隔は徐々に短くなっていく。
 彼は、房子によって、ひっくり返された世界に囚われていたのであった…」

・「人面葬」
「日本海に面した小さな町、金波銀波町。
 夏のある日、玉川あぐり(16歳)という娘が海に転落し、行方不明になる。
 刑事は、彼女と同じ、ハンドボール部の男達に話を聞くが、あぐりが彼らに見せた顔はそれぞれ違っていた。
 また、彼らがこの町に来たのは、マネージャーの柳支那子がここの出身であったからというのが明らかとなる。
 あぐりが行方不明になった夜、この地では「人面葬」という祭が行われていたのだが…」

・「渚満月美女涙」
「大きな沼の渚で、美女が亀とスッポンと共に暮らしていた。
 有能なスッポンに比べ、亀は「ドジでノロマ」で引きこもり。
 美女はことあるごとにスッポンを贔屓し、亀をいたぶるという三角関係が続く。
 しかし、飢餓に襲われた際、美女はどちらかを食べる決断に迫られる。
 その決断により、彼女は自分の本当の欲望に目覚めるのだが…」

・「血に落ちる 〜ザ・ブラッディ・ブライダル〜PART1」
「太平洋戦争中の南方。
 隊から逃げ出した蚊取文造は密林でカヤ姉に想いを馳せる。
 文造は小さな時から、いもしない蚊に悩まされて、周囲から変人扱いされてきた。
 そんな彼に唯一、優しく接してくれたのがカヤ姉であった。
 そして、出征の前日、彼は、嫁入り前のカヤ姉と結ばれる。
 身体の外側も内側も蚊に責め苛まされながら、彼が現実と妄想の狭間で見たものとは…」

・「血に落ちる 〜ザ・ブラッディ・ブライダル〜PART2」
「蚊取文造に飲み込まれ、彼の体内で運命の出会いをした蚊のキート・モスとカトリーヌ。
 キート・モスは文造の身体から脱出するが、カトリーヌを救うため、再び文造の体内へ戻ろうと試みる。
 幾多の困難を越え、二匹が会いまみえる時、奇跡が起こる…」

・「鉋屑」
「鉋さばきは超一流の大工。
 彼は、友人のユージと摩緒の夫婦のために、新居を建てる。
 彼は摩緒にぞっこんであったが、ある時、二人が彼をバカにしていることを知る。
 新居完成後、ユージと摩緒はその家に住むが、以来、謎の音に悩まされるようになる。
 一方、大工は愛用の鉋が行方不明となっていた…」

 個人的なことですが、漫画を文章で紹介することに意味があるのだろうか?と考える時があります。
 このサイトで、私は、願わくば、作品の魅力を伝えることを目標としているものの、なかなかそこまで到達できません。
 そんな中、黄島点心先生の作品は文章で表現することが非常に難しく、長い間、躊躇しておりました。
 「奇想ホラー」の才人と評価されておりますが、漫画でしか表現されえない「奇想」であります。
 あまりに突飛な発想を「絵力」によって紙面にねじ伏せ、イメージ豊かに現出される、その才能は稀有なものです。
 私の文章では先生の作品について、実のあることはさほど伝えられないとは思いますが、こんな駄文でも興味を持たれた方がおられましたら、是非とも、単行本を手に取ってみてくださいませ。
 圧倒されますよ。

2019年8月2日/2020年5月1日 ページ作成・執筆

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