横山まさみち「生首の子守唄」(中学二年コース9月特大号第二付録/1971年9月1日発行)
「中学二年生の早川謙太郎。
ハイキング好きの彼は、五年ぶりに長久尾(ながくお)峠を訪れる。
長久尾峠は素晴らしい自然に溢れた土地であったが、今は開発工事で自然が破壊されつつあった。
虚しい気持ちを抱きながら、工事現場の横を通りかかると、工事作業員の生首が見つかる。
その騒動の最中、彼は奇妙な老婆と黒猫に遭遇する。
彼は妙仙寺に三日の宿を取り、老婆のことを和尚さんから聞く。
老婆は信乃という名で、工事の事故で一人きりの孫を失い、頭がおかしくなっていた。
彼女は孫息子がいつか帰ってくると思い込み、工事計画に入っている土地から頑として立ち退こうとしない。
その翌日、謙太郎は信乃に孫息子と間違われ、彼女の家に招かれる。
下手に逆らわず、相手にしていたが、そこで彼は赤い液体の付いた編み棒を目にする。
同じ頃、竹やぶで工事人夫が喉を何かに突かれて、死んでいるのが発見される。
工事に恨みを持つ者の仕業か? それとも、何らかの偶然なのか…?
もしくは、長久尾峠に伝わる鬼婆に殺された旅人達の祟りなのであろうか…?」
ホラーではなく、実際はミステリーです。
ですが、恐怖を煽りまくり、怪奇色が濃い作品なので、取り上げました。
「オットセイ君」のイメージが強い、故・横山まさみち先生ですが、貸本時代から様々なジャンルの漫画を描かれております。
怪奇マンガをどの程度、描かれているのか、気になるところです。
このポケット版付録には、他に
水城礼美「狼の中のかわいこちゃん」
井草はじめ「せめてサヨナラの一言を」
高井研一郎「おれはCHU学生」
おしべゆうほ「花のはな太郎」
古城武司「ポンコツ大将」
が収録されておりますが、紹介は割愛させていただきます。
個人的に印象深かったのは、井草はじめ「せめてサヨナラの一言を」。
タイムマシンを絡めたロマンティックSFで、ほろ苦いラストです。
ただ、未来世界にフィルム写真が存在していることがひっかかりますが…。
2017年12月5日 ページ作成・執筆