「大恐怖P 1998年4月号」(1998年4月1日発行)

 収録作品

・谷間夢路「奇妙な風景」
・永野桃子「契約不倫」
・かとう・えむ「待つ女」
・高塚Q「砕ける熱」
・岩本麗子「麗しの妄執」
・大石エリー「火遊び」
・川島れい子「最果ての湯」
・平山郁「殺意の階段」
・空路「硝子のイルカ」
・さかもと聖衣「心霊病棟の美しい患者」
・川中島みゆき「疑惑のカーテンコール」
・石井まさみ「恐怖代理人は見た!」
・櫻井そうし「赤い貴族C」
・永行古林「理想の顔」
・藤崎晶子「影踏み」
・北川玲子「ダンス!!」
・竹崎真美「鬼恋の里」

 心にひっかかった作品。

・高塚Q「砕ける熱」
「奥平は、先生にレイプされそうになった女生徒、大貫を助けてから、彼女を守るべく心に決める。
 彼には、過去の母子心中の名残の傷が左手の甲にあり、それが彼女を見るたびに疼く…」
 先生の他の作品に比べると、若干印象が薄い感じです。でも、やっぱり唯一無二な作風であります。

・川島れい子「最果ての湯」
「恐山(?)に観光に来たカップル。二人がそこで遭遇する怪奇現象とは…」
 内容云々より、恐山でサカリまくるカップルの描写がまさしく「ズーマ 恐怖のバチあたり」もしくは「バチあたりの修道院の最期」って感じであります。
 サカリまくるだけでなく、道端のお地蔵さんにスペルマをぶっかける狼藉ぶりですが、大してバチもあたらないのが、物足りません。八つ裂きにでもされりゃいいのに…。

・川中島みゆき「疑惑のカーテンコール」
「佳美が友人の出産祝いに行った後、そこの近くの家で男が殺される。
 顔半分に火傷の痕のある、殺された男の妻は失踪、だが、佳美はその女性と、現在、人気絶頂の女優の間にある共通項を見つける…」
 程よくまとまったサスペンスです。傑出した出来というわけではありませんが、この絵が何故か好きなんです。

・藤崎晶子「影踏み」
「ある雨の日、歩道橋を昇ろうとした女児が、前を歩いていた女性の持っていた傘で片目を突かれ、死亡する事件が起きる。
 母親は必死になって犯人を捜そうとするが…」
 非常に後味の悪〜い話です。精神的ダメージはかなり大きいです。

「恐怖の快楽」(ぶんか社)の成功に触発され、1996年頃から発行されたと思しき「大恐怖」。
 残念なことに、「恐怖の快楽」と比較すると、内容は遥かに劣ります。
 最初の方はそれなりに頑張っていたとは思いますが、看板作家の少なさは如何ともしがたく、この頃になると、ジリ貧になっていたように感じます。
 この本は、谷間夢路先生、空路先生、北川玲子先生、竹崎真美先生、石井まさみ先生と今もなお活躍しているベテラン作家さんを揃えてはおりますが、肝心の神田森莉先生の作品がありませんし、この手の読者層にアピールするには弱すぎることは否めません。
 個人的には、この本で「恐怖の快楽」に匹敵するのは「エロ」だけと思います。

・備考
 表紙に折れ、汚れ、痛みあり。全体によれよれで、状態悪し。

平成27年2月11日 ページ作成・執筆

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