「土曜漫画 1967年5月12日号」(70円)
個人的に、気になった作品
・岩浪成芳「戦慄の種子」
「植物学の権威、黒沼博士は海抜三千メートルの山中で奇妙な種を発見する。
この種の近くには隕石が落ちたような巨大な穴が開いていた。
温室に種を植えると、すぐに芽が出て、常識はずれのスピードで成長する。
女助手の大町春美はこの奇妙な植物が食虫植物ではないかと考え、ある夜、この植物に幾つかの昆虫を試してみる。
だが、反応はなく、失望した彼女が植物を指先でつつくと、その触手が彼女の腕に絡みついて刺す。
意識を失った彼女は目覚めると、植物の奴隷になっており、血液銀行で人血を仕入れては、毎夜、植物に与える。
植物は急激に成長するが、不審に思った黒沼博士はある夜、大町春美が植物に血をやる現場を押さえる。
吸血植物だと知り、博士はこれを焼却しようとするのだが…」
恐らく、岩浪成芳先生の「土曜漫画」での記念すべき(?)「ゲテモノSFホラー」第一弾です。
前年の1966年頃、「漫画情報」で一連のゲテモノSFホラー作品を手掛けた後、古巣の「土曜漫画」で同様のタイプの掲載するに至った経緯については全くわかりません。
ただ、自分のやりたい方向性を完全に見出していたことだけは確かで、「吸血植物が巨大化して大暴れ!!」という趣味に走りまくったストーリーです。
大抵、このような「怪獣もの」は陳腐なメロドラマが尺稼ぎのために挿入されているものですが、そんなものには歯牙にもかけず、怪獣の暴れっぷりに描写を絞っております。
このような作品にどれだけ需要があったのか不明ですが、同様の漫画が約五年ぐらい続いたことを考えると読者の根強い支持があったのかもしれません。
とにかく作品に内容を詰め込もうとして「絵物語」な感じになっているところに岩浪先生のやる気を感じます。
何度読み返しても、当時としては尖鋭的な傑作です。
・篠原節「野地・五色温泉脱線旅行」
「『湯治の温泉』として有名な野地温泉。
主人公は男女混浴風呂で女の股を見るために案を巡らすも、短期滞在ではもてないことがわかる。
そこで、「子宝温泉」と言われる「五色温泉」へ足を延ばす。
そこで子供ができる身体になるまで滞在している娘と出会い…」
2024年4月19・21日 ページ作成・執筆