菅島茂「みどりの悪魔」(小学四年生4月号/1968年4月1日発行)

「春男は大学病院で盲腸の手術を受ける。
 盲腸の原因となったのは、ブドウの種であった。
 その種が体内で根を張り、春男の頭部からは芽やツタが伸びるようになる。
 彼は療養のため、千葉県の咲花村にある家に両親と共に移る。
 一週間後、春男の親友、勇と友子のもとに春男からの手紙が来る。
 今度の日曜日に遊びに来てとの招待で、当日、二人は電車で千葉県に向かう。
 駅で降りると、ちょうど咲花村に行くタクシーがあり、二人はタクシーの運転手に乗せていってもらう。
 だが、春男の家では、どうやら留守の様子。
 離れにある温室にいるのだろうと、そちらに向かうと、ブドウの木の前に「ご自由におたべください」と貼紙がしてある。
 タクシーの運転手が試しに食べてみるが、実は、そのブドウの木は変わり果てた春男の姿であった。
 春男の両親も植物人間に変えられており、勇と友子は植物人間達に温室に監禁される。
 植物人間達は自分の実を食べさせて、二人を仲間にしようと目論むのだが…」

 「マタンゴ」の影響があるにしても、完全に自家薬籠中の物にして、独自のモンスターものに仕立て上げているのは流石!!の一言です。
 小学生向けにしては、モンスターの描写はかなり緻密で、今見てもなかなかの迫力。
 また、ストーリーもさることながら、春男が植物に徐々に身体を乗っ取られていく描写や犠牲者の目から芽(シャレではないです)が出る描写(p77)等のショック描写も素晴らしいです。
 個人的には、主人公達が温室に監禁されて、喉の渇きに苛まされる描写が、今年の夏は記録的な猛暑なこともあって、鮮烈な印象を受けました。
 モンスター怪奇の名品として、「のろいの地下室」「人食いまき毛」(未入手/読みたい!!)とあわせて、復刻が切に望まれます。
 あと、この作品は、イヌダハジメ氏(aka キクタヒロシ氏)の同人誌「逢魔がマンガ館」にて詳しい解説がなされておりますので、詳細をお知りになりたい方はそちらをどうぞ。

 「みどりの悪魔」の後に、「からだのミステリー」(斎藤守弘・文/菅原亘・絵)が併録されております。
 こちらは人体に起こった、奇妙な事件を扱った科学記事でありますが、体内で竹が生えたり、スイカが芽を出したり、脳の表面にカビが生えたり、身体からデンプンが出てきたりといった内容で、「みどりの悪魔」の読後に、こんな記事を読んだチビっ子達は、かなりの不安に駆られたのではないでしょうか?
 科学記事に見せかけて、その実、徹底したトラウマを植え付ける…編集者の本気(悪意?)を感じてしまいます。

・備考
 ジャンク。小口の天に持ち主の名前記入。「みどりの悪魔」は問題ないが、「からだのミステリー」にてpp121〜124と最後のページ(pp129・130/存在するのか?)が切り取られ。また、p24(「みどりの悪魔」)、p125(以下「からだのミステリー」)、p127、p128に落書き。(安価で入手したが、高値でもちゃんとしたものを入手しておくべきだったと今更ながらモ―レツに後悔!!)

2018年8月8日 ページ作成・執筆

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