阿南まゆき・他「ホラーベストコレクション 闇」(2020年ちゃお5月号付録)
収録作品
・阿南まゆき「ズル休み」
「高校三年生の里奈は受験勉強に疲れ、仮病を使って学校を休む。
家には彼女一人で、自由に過ごしていた時、妙なことに気付く。
外にランドセルをかるった小学生の小さな女の子がいて、あちこち家のチャイムを鳴らしたり、覗き込んだりしていた。
里奈が少女を見ていると、少女が里奈の方を振り返り、視線が合う。
少女の顔は化け物のようであった。
少女は里奈を指さし、彼女の家のチャイムを何度も鳴らす。
更に、少女は二階の窓から里奈の家に侵入し、里奈は家から逃げ出す。
少女は里奈を追いながら、何かを返してと言う。
平日の真昼間で道路には人気がなかったが、ある家の主婦が里奈を家に招く。
彼女は近所の酒屋のおばちゃんであった。
おばちゃんから里奈はあの少女について聞く。
あの少女は「かわいそうな子」とのことなのだが…?」
・みずほ梨乃「ショコラの魔法 〜ショコラバーム 偽りの姿〜」
「リズミは哀川ショコラから『ショコラリップバーム』をもらう。
これを唇に塗って相手にキスすると、キスした相手の姿を奪うことができるのであった。
彼女は可愛い少女の顔を奪い、アイドル歌手として活躍する。
そんな彼女の姿を見て、雪村エル(15歳)という少女もアイドルを目指す。
ある日、ダンスの練習をしていると、見知らぬ少年が乱入してくる。
二人の息はぴったりで、少年はエルにコンビを組まないかと提案する。
少年の名はアルトで、ある芸能事務所にアイドル候補生として所属していた。
二人のダンスの映像は話題になるも、事務所は男女のコンビは認めず、エルは男装をすることとなる。
エルとアルトのデュオ『フォルテ』は快調な滑り出しで、デビューシングルもヒット。
彼らの成功はリズミは妬み、エルと入れ替わって、ライブを潰そうとするのだが…」
・にしむらともこ「極楽!!めちゃモテ委員長 ―極楽アイス―」
「緑川夏葉はとっても汗かきの少女。
暑い時期には汗がダラダラで、鬱陶しいことこの上ない。
ある日、彼女は学校の大鏡に「涼しくて汗なんかかかない世界につれてって」と願う。
すると、鏡の中から魔美と名乗る少女が現れる。
彼女は「理想の世界への案内人」で、夏葉が気づくと、鏡の前に座っていた。
手元には「極楽アイス無料券」というカードがあり、このカードでもらったアイスを食べると、半日涼しくいられるという。
このアイスのおかげで、昼間でもクーラーのきいた部屋にいるみたいに感じ、彼女は夏を快適に過ごせると喜ぶ。
ただし、食べ過ぎないよう注意されていたのだが…」
・泉道亜紀「人間回収車 〜回収車リスト:湯島菜々美」
「湯島菜々美は貧乏な家の女の子。
彼女はいつも金持の娘の絵麻にバカにされていた。
ある日の下校途中、菜々美は人間回収車を見かけ、反射的に絵麻を回収してもらう。
これで自分をバカにする人はいないと思うも、翌日、絵麻は学校に登校してくる。
菜々美は、絵麻は金持ちの子だからお金を払って解放してもらったと考え、自分が回収されたら戻れないと悩む。
そんなことを考えながら、下校していると、絵麻とその母親を目にする。
絵麻は風邪をひいて苦しそうなのに、母親は娘をむりやり塾に連れて行っていた。
翌日、絵麻は風邪が悪化し、菜々美は心配して声をかける。
すると、絵麻は逆上し、菜々美を突き飛ばしたところを先生が目撃。
絵麻は暴力を振るったとのことで、母親は生徒指導室に呼ばれ、母親は娘に怒りをぶつける。
絵麻の菜々美への憎しみは募っていき…」
・えびなしお「森のくまちゃん 〜ちょっ怖番外編〜」
「森中だいあは小学四年生の女の子。
彼女は母子家庭で、小さい頃から母親にネグレクトや暴力を振るわれていた。
でも、彼女には「くまちゃん」がいた。
母親のいない間、ぬいぐるみの「くまちゃん」は動いて、彼女と遊んでくれる。
「くまちゃん」は彼女にとって母親よりも大切な「家族」であった。
ある日、だいあは母親から近所から騒音の苦情がきていると言われる。
くまちゃんを抱きながら、母親の説教が終わるのを待っていると、母親は突然、癇癪を起こし、くまちゃんを殴り飛ばす。
だいあは怒りに駆られ、母親をナイフで刺そうとした時、くまちゃんが彼女を止める。
くまちゃんは「だめなの」と言うのだが…」
・坂元勲「ルミちゃんのしっぱい」
「ルミはいつもお小遣いがピーピーであった。
ある日、彼女は友人のアイから「おこづかいもらえる魔法の言葉」を教えてもらう。
それは「私知ってるの 見ちゃったんだ」で、アイはこれを不倫をしている両親に言って小遣いをせびっているという。
帰宅後、ルミがテレビを見ていると、人気ゲームのCMが流れる。
母親にねだると、相変わらず、勉強しろとの説教。
ルミはカチンと来て、「私全部知ってるんだからね!!」と口走る。
母親の反応を窺うと、きょとんとした顔で「何を?」と聞かれる。
ルミはしどろもどろで両親が夜中に話していた云々と説明するが、母親は訝し気な顔をするだけ。
その後、ルミは子供部屋で小遣いをもらえなかったことを逆に安堵するのだが…」
「ちゃお」の付録で、「オール描きおろし新作」です。
「ちゃお」での人気作家が集合しておりますので、どの作品もそれなりに読ませます。
個人的には、阿南まゆき先生「ズル休み」が非常にトラウマ度が高く、ベストだと思います。
また、坂元勲先生「ルミちゃんのしっぱい」は小粒ながら、うまくまとまっております。
2024年11月25・30日 ページ作成・執筆