石川賢・南條美和「ミステリーコミック」(小学五年生10月号/1973年10月1日発行)

 収録作品

・石川賢「昆虫やしき」
「夏。
 二人の少年、すすむとチョビが、虫を探して、森へ入る。
 虫の声のする方に進むと、森の奥に屋敷があり、その中から虫の声が聞こえてくる。
 だが、その屋敷は焼け落ちたという噂であった。
 玄関先でチョビが穴に落ち、助けようとしたすすむも虫に襲われ、穴に落下。
 登ることはできず、仕方なく横穴を進むと、蟻の大群に襲われる。
 どうにか逃げ込んだ先は、屋敷の中であった。
 この屋敷は、昆虫の権威として有名な太田順太郎博士のもので、外へ出ることができない。
 しかも、屋敷の中は、至る所が無数の昆虫で覆われていた。
 逃げ込んだ地下室で二人が見たものは…」

・南條美和「黒いわな」
「聖アグネスハイスクール一年生、エレナ・レース。
 ある日、建築家のリバンスという中年の男性が、彼女のもとを訪れる。
 彼は、彼女の両親と親友で、独身ということもあり、死後、彼女に全財産を譲るという。
 たまたま両親が仕事で留守で、エレナは一人で彼の屋敷に会いに出かける。
 食後、家を案内してもらった時、彼は彼女に、人魚の像を見せる。
 これは大粒のダイヤモンドが五個はめ込まれた、立派なものであった。
 その夜、リバンス家の裏の材木置き場で火災が発生し、焼け跡からリバンスの焼死体が発見される。
 そして、彼の殺害容疑をかけられたのが、エレナであった。
 彼女はその夜、寄宿舎に戻れず、恋人のジムの姉の家に泊まったのだが、アリバイはあやふやであった。
 しかも、庭の植え込みに、血の付いた人魚像が埋められているのが発見される。
 像にはエレナの指紋がつき、ダイヤは全て抜き取られていた。
 状況が圧倒的に彼女に不利な中、ジムは彼女を救うために奔走する…」

 石川賢先生「昆虫やしき」は「虫ホラー」の隠れた名品ではないでしょうか?
 ただ、小学生向けの漫画ですので、ムロタニツネ象先生の「虫地獄」ほど、ヘビーではありません。
 それでも、ダイナミック・プロ所属の石川賢先生の作品ですので、トラウマ度は、他の作家よりも遥かに高めです。
 南條美和先生「黒いわな」はサスペンス&ミステリーです。
 南條先生は貸本時代からおられますが、サスペンスものは初めて目にしました。
 貸本時代以降は、雑誌で活躍されたのでしょうか?

2020年12月18日 ページ作成・執筆

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