みやぞえ郁雄・森由岐子「ミステリーコミック」(小学五年生11月号/1973年11月1日発行)
収録作品
・みやぞえ郁雄「まぼろしの谷」
「一(はじめ/姓は不明)はペンフレンドの大和田さゆりの住む村へと向かう。
彼には、考古学者の父親と、その部下の田村と中沢も同行する。
というのも、手紙と一緒に送られてきた、はにわが非常に考古学的価値の高いものだからであった。
さゆりの家に着くと、一の父親は、さゆりの父親から詳しい話を聞く。
さゆりの家には、このはにわと宝の地図が伝えられていた。
だが、宝の隠し場所の「まぼろしの谷」には魔人が住んでおり、近づく者は皆、殺されると伝えられる。
一の父親は地図の調査に乗り出すが、秋祭りの夜、魔人に襲われ、父親は惨殺、中沢も怪我を負う。
悲嘆に暮れる一に、さゆりは、彼の父親を殺したのは魔人ではないと告げる。
実は、さゆりと魔人はふとしたきっかけから友達になっていた。
真相を確かめるために、一は、さゆりの案内で魔人に会うこととなるのだが…」
・もりゆきこ(森由岐子)「死霊のすむ家」
「孤児の真奈美は、ある夫婦に養女として引き取られる。
夫婦は大きな邸に住んでいるにも関わらず、そこには夫婦以外、人っ子一人いない。
実は、妻の静香は一人娘のミチを亡くしてから、精神に変調をきたしていた。
彼女は、自分の娘の部屋に、ミチそっくりの蝋人形を置いて、人形をまるで生きているかのように扱っていたのである。
だが、真奈美は徐々にミチの蝋人形に奇妙な違和感を抱き始める。
夫婦が揃って外出する日、真奈美はミチの蝋人形を確認しようとするのだが…」
みやぞえ郁雄先生の「まぼろしの谷」は正直、イマイチです。
肝心の魔人が、単なるイロモノ・オヤジにしか見えず、迫力のかけらもありゃしません。
一方の、森由岐子先生の「死霊のすむ家」は、人形をテーマにした怪奇譚で、こちらの方が遥かに面白いです。
この作品に出てくる蝋人形が、感情を持たず、ただ単に生きているだけというのが、かえって不気味です。
2018年9月30日・10月1日 ページ作成・執筆