川崎のぼる「死人が呼んでる/悪魔博士」(小学五年生3月号付録/1968年3月1日発行)
収録作品
・「死人が呼んでる」
「東北のある小さな村。
そこでは、嵐の夜、二人の女の子が行方不明になっていた。
そして、またもや、嵐の夜に松本美代子という少女の行方がわかならなくなる。
どこを探しても見つからず、村人達の嫌疑は、村の御堂に半年前から住みついた、白頭巾の娘と老婆にかかる。
二人は村の祈祷師のもとに引っ立てられ、祈祷を受けると、白頭巾の娘の様子がおかしくなり、「ころしてやりたいほどにくい」と口走る。
だが、その場に駐在がとび込んできて、ある目撃情報から、美代子を連れ去ったのは別の女で、きつね山に向かったと伝える。
美代子はきつね山で無事に保護されるが、寺の和尚は美代子にただならぬ妖気を感じ、美代子の家中にお札を貼るよう命ずる。
だが、白頭巾の娘と老婆は美代子の命を虎視眈々と狙い続ける。
二人の正体とは…?
そして、美代子が危険にさらされると、陰から彼女を守る、若い女性は一体誰なのだろうか…?」
・「悪魔博士」
「S雑誌の新米記者の長田大助と助手の鈴子。
二人は、能面研究家の佐久間放庵の取材のために、信州に向かう。
途中の電車で、二人は乗り合わせた老人から佐久間放庵の屋敷に行くのを止められる。
老人が言うには、佐久間放庵の屋敷を訪れた者は皆、呪い殺されてしまうらしい。
三十年前、佐久間放庵の屋敷には、老婆と、赤ん坊持ちの娘が手伝いとして住み込んでいた。
ある日、わがままな放庵は娘に暴力を振るい、はずみで娘は顔にひどい火傷を負ってしまう。
放庵は自分のしたことを隠すために、離れの小屋に娘を閉じ込めるが、娘は赤ん坊に会いたさに、能面をかぶって、屋敷を訪れる。
怒り狂った放庵は娘を地下牢に監禁し、娘は発狂、最後は、屋敷裏の沼に身を投げる。
その後、老婆と赤ん坊も姿を消し、以来、屋敷は娘と老婆と赤ん坊に呪われていると噂されていた。
そんな噂があるとは言え、仕事は仕事なので、大助と鈴子は佐久間放庵の屋敷を訪れる。
屋敷には、放庵、下男の作蔵、半年前に能面作りの勉強をしに来た助手の中野の三人が住んでいた。
激しい雨に襲われ、大助と鈴子は屋敷に滞在することとなるが、その夜、中野の様子がおかしくなり、遂には死体となって発見される。
だが、怪異はそれだけにとどまらない。
娘と老婆、赤ん坊の呪いなのであろうか…?」
「死人が呼んでる」はちょっと釈然としない部分があり、わかりにくい印象を受けました。
「悪魔博士」は怪奇色の入ったミステリーで、まあまあ面白いです。
ただ、謎解きに「催眠術」が出てくると、ちょっとシラケますね〜。
・備考
背表紙に剥がれあり。裏表紙に尖ったもので突いたような穴あり。後半、ページの下(コマ外)に水濡れの痕あり。pp79・80、上部に裂けあり。
2018年6月4日 ページ作成・執筆