古賀新一「虫少女」(りぼん3月号付録/1968年3月1日発行)

「盲腸で入院していた麻梨は、病室の窓から見える、院長先生の屋敷が気になって仕方がない。
 院長先生には娘がいたはずだが、娘の姿を見なくなったのと入れ替わりに、屋敷の煙突から、春の暖かい最中に、絶えず煙が出るようになる。
 麻梨は怪しいと思いながらも、退院後も、その家に近づくチャンスはなかった。
 しばらく経ったある日、弟の正一と共に下校途中、院長先生の奥さんから車で送ってもらう。
 ついでに、屋敷を見せてもらえると言うので、この機会に麻梨は屋敷を探索、暖炉で人骨を発見する。
 院長によると、彼の娘、エミは火事の火傷で手足を失い、醜い姿になってしまったのだが、彼の留守の間に、エミは行方不明になっていた。
 実は、義理の娘を毛嫌いしていた院長の妻は、エミは冷蔵庫に閉じ込めて窒息死させ、暖炉で遺体を焼却していたのである。
 そして、当の冷蔵庫で、隠れん坊をしていた正一が死体で発見される。
 だが、葬儀の際、正一の死体は消失。
 数日後、正一は家に帰ってくるが、彼はエミ同様、芋虫のように振る舞う…」

 古賀新一版「芋虫」(江戸川乱歩)であります。
 と言いましても、「反戦」とか訴えているわけでなく、そのものズバリの「いもむし少女」を描いた、ゲテモノ・怪奇マンガ以外の何物でもありません。
 読めば読むほど、ムチャクチャな話ですが、この「行き当たりばったり」のショック描写は時に味わい深いです。

 この作品は、「いもむし」(ひばり書房黒枠)収録の表題作にて、「のろいのこぶ少女」とドッキングさせて、一つの作品にまとめられております。(内容はまとまっておりませんが…。)
 古賀新一先生の少女漫画雑誌に描かれた作品は、ある程度、単行本化されているようですが、この作品をちゃんとしたかたちで読めるのは、この付録本だけのようです。

・備考
 表紙とp1、下部に裂けあり。後半に折れや欠損あり。

2017年12月31日 ページ作成・執筆

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