日野日出志「吸血!黒魔城」(1980年10月15日第1刷発行)

「都内の女子高に通う、美しく明るい女子高生、花村亜矢。
 ある日の下校途中、彼女を呼ぶ声に引かれ、夢現のまま、古道具屋に入る。
 そこで、亜矢は気味の悪い老婆から水晶玉を貰う。
 彼女がその水晶玉を枕元に飾って、寝た夜、ある夢を見る。
 その夢とは、湖の中央にある城に船で運ばれ、長い廊下を渡った先にある城主の部屋で、首から血を吸われるという内容であった。
 明くる日、亜矢は日光を浴びただけで立ちくらみを起こし、身体がだるくて仕方がない。
 以来、夜ごと同じ夢を見るようになり、亜矢は衰弱していく。
 そして、七日目、夢の中で、亜矢は逆さ吊りにされ、城主の崇める神に生贄に捧げられることとなる。
 亜矢の喉を刃が切り裂こうとする時、城に軍勢が攻め込んできて、彼女は隼人という若武者に助けられる。
 夢の中で助けられてから、亜矢の身体は急速に回復する。
 翌晩、亜矢は夢の中で隼人と出会い、湖の中にある城の説明を聞く。
 あの城は黒魔城といい、城に住むのは、吸血人間の闇一族であった。
 江戸時代、ある領地の山奥深くに黒魔城が現れ、領民を次々と毒牙にかけた。
 領主は黒魔城を滅ぼそうとするが、いたずらに犠牲者が増えるばかり。
 そこで、領主は高僧を招き、水晶玉の中に黒魔城と今まで犠牲になった侍達を閉じ込め、永遠に戦い合うようにしたのである。
 しかし、闇一族は水晶玉から脱出する為に、亜矢の命を狙う。
 亜矢は隼人から、昼間、水晶玉に入り、黒魔城の城主を倒すよう頼まれるのだが…。」

 知名度はかなり低い作品でありますが、良作だと思います。
 これも「恐怖!四次元の町」と同じく、漫画雑誌に連載されたものと思います。(確認取れてなく、申し訳ない…。)
 そのためか、ヒロインを(頑張って)可憐に描いており、フツ〜に可愛いです(個人差あり)。
 主人公でさえ、おどろおどろしいキャラばかりの、日野日出志先生のマンガを読み慣れていると、かなり新鮮な印象を受けました。
 また、ラストも予想通り、底抜けのハッピー・エンドで、詩的な情緒も余韻もさっぱりないのでありますが、それはそれで味わい深いものがあります。
 言うなれば、日野日出志先生の「ジュブナイル」的な作品でありましょう。
 作品に「深み」を求める向きには不興を買うかもしれませんが、「エンターテイメント」としてはまあまあいいと私は思います。

・備考
 カバー痛み。

2017年5月16日 ページ作成・執筆

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