三原一晃「白雪姫は悪魔の使い」(1983年3月15日第1刷発行)

「沼田レイコは、そばかすにコンプレックスを持つ小学生。
 頭脳は明晰なのに、コンプレックスのため、引っ込み思案で、いじめの標的にもされていた。
 そんな彼女の夢は、学芸会で「白雪姫」を演じること。
 ある日、レイコは、親友の桜田明美の家で、明美のおじのメキシコ土産、アステカの神像を見せてもらう。
 明美が言うには、この神像は奇跡の神様であり、願いを何でも叶えてくれるらしい。
 レイコは明美に頼み込んで、この神像を一週間、貸してもらう。
 まずは、クラスでいじめられないよう祈ると、翌日、レイコをいじめていた三人組が怪我をして欠席していた。
 帰宅後、レイコは神像に感謝すると、神像は願い事を叶える代わりに「いけにえの血」を捧げることを要求。
 レイコは躊躇するものの、神像の怒りにより顔のそばかすがひどくなり、仕方なくペットのインコを殺す。
 次のレイコの望みは、学芸会で「白雪姫」を演じることであった。
 神像の力によって、レイコのそばかすは消え、ライバルの明美は階段から落ちて、骨折。
 レイコの望み通りに、「白雪姫」の主役に選ばれ、憧れの朝香ジュンと共演することとなる。
 その代償として、レイコは飼い猫を泣く泣く刺し殺す。
 そして、学芸会当日、「白雪姫」は無事に閉幕するが、レイコの身には異変が起きていた…」

 「薄味」な内容です。
 いくらでもヘビーかつ血生臭くできそうな内容なのに、ちっともそうならないのが、「広永マキイズム」。
 ネタバレでありますが、ラスト、ヒロインは何故か「猫耳」少女(注1)になって、崖から転落して死亡してしまうのです。
 どうしてこんな展開になったのか?…と、もやもやの残る作品であります。

・注1
 私は「萌え」とかさっぱりわからないのでありますが、「猫耳」少女は「萌えキャラ」として確立されているようです。
 しかしながら、「猫耳」キャラの元祖はやはり「化け猫」。
 個人的には、「亡霊怪猫屋敷」(1958年/監督・中川信夫)にて、化け猫を演じた女優の五月藤江が頭に浮かびます。
 化け猫と言いましても、猫娘ではなく、猫婆ですが、ちゃんと「猫耳」ついてます。(もしかしたら、元祖「猫耳」キャラとか?)
 映画が始まって55〜56分経った頃、正体を見破られた猫婆が、猫耳をピョコーンと立てるシーンがありまして、爆笑しました。
 「亡霊怪猫屋敷」は、怪談映画の最高峰「東海道四谷怪談」と較べたら見劣りはするものの、様々なトリックを駆使した映像は今現在でも面白いと思います。

2016年11月4日 ページ作成・執筆

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