浜慎二「顔のない転校生」(1984年7月15日第1刷発行発行)

「大橋加代子は中学二年生の少女。
 母親の再婚相手は酒乱のDV男で、家庭では諍いが絶えず、家で彼女の心の支えになっているのは、人形と彼女の父親の写真だけ。
 また、彼女の通うクラスには由美と幸子という親友がいたが、その中学校は校内暴力の巣であった。好き放題な不良どもを尻目に、先生達は手を拱くばかり。
 一学期が始まって間もなくの頃、加代子のクラスに里中純という少女が転校してくる。
 彼女には不思議な力があり、彼女の言うことに皆、従ってしまう。
 まず、サッカー部の部室でたむろする不良どもをサッカー部の部員にし、自分はそのマネージャーにおさまる。
 不良がいなくなった学校は夏までには普通の学校の装いを取り戻す。
 が、その一方で、加代子はクラスで孤立、親友だった由美と幸子とも口をきかなくなってしまう。
 クラスで家庭のことでいじめに遭い、家でも実の母親に邪魔者と罵られ、絶望した加代子は高層ビルから飛び降り自殺を図る。
 しかし、死んだはずの彼女は蘇り、知るのだった。
 里中純の正体を…そして、自分の力を…。」

 実は、SFジュブナイルなのです。
 浜慎二先生にしては、かなり毛色の変わった話だと思っていたら、後書きにて、浜慎二先生の娘さん(当時、中学生)が友人の作った話をマンガ化して欲しいと先生に頼んで、描かれたマンガなのでそうです。
 マンガを読んだ感じでは、「スキャナーズ」と「スクールウォーズ」の影響をちょっぴり受けた「ねらわれた学園」(眉村卓)っぽいですね。
 いろいろな要素を取り込んではいますが、未消化な部分が多く、いまいちスッキリしません。
 また、見せ場である超能力対決も、非常に「地味」です。私が見た中で、最も「地味」な超能力対決であります。「派手」だから良しとはしませんが、ちっとも盛り上がらないというのもどうかと…。
 残念な作品であります。

平成27年3月2日 ページ作成・執筆

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