好美のぼる「運命線は血みどろの蛇」(1984年12月15日第1刷発行)

「年の暮れ、関東デパートの女性用お手洗いに女児が捨てられていた。
 女児は左の掌に赤い線がある以外は全く健康で、施設に引き取られる。
 しかし、女児が来てから、施設では奇怪な出来事が頻発。
 院長は、女児の仕業と見当を付け、マジシャンの夫婦に養子に出す。
 それから十四年、ユカリと名付けられた女児は、虐待に等しい、手品のスパルタ教育を受けながら、美しい娘に育つ。
 ただ一人、彼女のことを気にかけてくれたのは、養父母の弟子である青木という青年だけであった。
 ある日、養父母はそろって左掌に謎の怪我を負い、手品ができなくなる。
 そこで、ユカリを天才マジシャン少女として芸能プロダクションに売り渡そうとする。
 すったもんだの末、ようやくとあるプロダクションに落ち着いたユカリは、神業めいた手品で瞬く間に人気者となる。
 だが、彼女はホテル出演に固執し、また、手品の最後には決まって、捨子の赤ん坊を出すのであった。
 そして、彼女のマジックの最中には、左掌の運命線から赤い蛇が這い出し、観客の女性を探っていた…」

 「怪奇!手相コミック」の第二弾で、今回は欄外に運命線についてのトリビアが散りばめられて、ちびっと本格的。(マンガがマンガなので、信憑性には欠けますが…。)
 ストーリーは、若干ネタバレとなりますが、「孤児の少女が、運命線から赤い蛇を出すことにより幾多のトラブルを切り抜けながら、実の母親を探す」というもので、ストーリーだけ見ると、不思議な味わいがあります。
 ただし、そこは何と言っても好美のぼる先生ですので、行き当たりばったりな展開や理解不能な描写に満ち溢れ、やはり一筋縄ではいかない(ぶっちゃけ、ヘンな)作品となっております。
 あと、どうにも気になって仕方がないのは、運命線から出てくる「赤い蛇」ですが、絵で判断する限り、触手か根っこと形容する方がしっくりきます。(手抜きですか?)
 ストーリーや発想自体は、個人的に悪くないと思ってますので、そこは惜しいと思います。

2018年7月23日 ページ作成・執筆

立風書房・リストに戻る

メインページに戻る