広永マキ「双子座呪われた誕生日」(1985年8月15日第1刷発行)

「森園麻里は、資産家の一人娘。
 父は仕事で忙しく、母は病弱のため、一人で過ごすことが多い彼女は、ある時、庭の片隅に古びた小さな石碑を見つける。
 彼女はその石碑が妙に気になるが、以来、彼女は何度か事故にまきこまれそうになる。
 十六歳の誕生日が間近に控えたある日も、ショーウィンドーのウェディングドレスを見ているところにバイクが突っ込んでくる。
 彼女が助かったのは、ショーウィンドーのマネキンが、血まみれの彼女の顔になり、跳びのいたお陰であった。
 帰宅すると、誕生日用のドレスが届いていたが、何故か二着ある。
 訝りながら、応接室に向かうと、両親と遠縁の秀一の話が耳に入る。
 実は、麻里には双子の姉がいたのであった。
 両親の説明によると、昔、森園家で双子が産まれたが、片方に醜いアザがあり、世間体を気にした先祖はアザのある赤ん坊を井戸に投げ捨てて殺してしまったという。
 その後、森園家でまた双子が産まれるも、片方が変死する。
 そして、麻里達が産まれた時、心配した両親が霊能者に相談したところ、姉の方に不運の星が付いていると言われ、、泣く泣く姉を養子に出したのであった。
 姉の行方は養父母の死の後、長らく不明であったが、秀一が偶然に発見し、六月の誕生日に家に戻ってくる。
 麻里の姉、里枝は、活発な麻里と違って、大人しい性格であった。
 だが、麻里は、血まみれのマネキンの顔が里枝だと知り、姉が自分を呪っていて、今までの災難は姉の仕業と考える。
 麻里は里枝に冷たく当たるが、そのために周囲の顰蹙を買い、孤立を深める。
 そこで、里枝を家から追い出そうと、麻里は森園家に伝われる呪いの噂を利用して、里枝に嫌がらせをするのだが…」

 派手さはありませんが、程よくまとまっております。
 姉妹の確執をテーマにすると、ぐっと読み応えが増すように感じるのは、私の気のせいでしょうか?

2021年10月3日 ページ作成・執筆

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