鬼城寺健「悪魔つきの少女」(1981年7月15日第1刷発行)

「汚職で悪名高いNK商事の常務、犬神耕三が海辺に新築した豪邸。
 家を建てる際、地中から、能面を収めた箱が掘り出され、面をいたく気に入った耕三は居間に飾る。
 しかし、その面は戦国時代に非業の死を遂げた里見家の殿様の怨念が宿っていた。
 更に、耕三の悪事を隠蔽するために殺された小林という社員の霊も加わり、一家で一番弱い、耕三の一人娘の聖子に憑りつく。
 聖子は毎夜、能舞をする人物が侍達に斬殺される夢を見るようになり、遂には、日中でもその幻に悩まされるようになる。
 そのうちに、聖子は異常行動を起こすようになり、全く家族の手に負えなくなる。
 耕三は能面を始末しようとするが、どんな方法を使っても、能面は居間に戻ってくる。
 ある嵐の夜、能面からパワーを得た(らしい)小林は耕三に復讐し、溺死させる。
 耕三が死んでからも、悪霊は聖子の身体から出て行かず、屋敷で傍若無人に振る舞う。
 聖子の母親は、出羽三山の聖雲阿闍梨(せいうんあじゃり)というお坊さんに悪魔祓いを依頼するのだが…」

 元ネタは、一目瞭然、「エクソシスト」です。(作品中にゾンビもちょっぴり出ています。)
 ストーリーが「エクソシスト」から大きくはみ出すものではありませんし、絵柄が昔の時代劇画の流れを汲むものなので(注1)、今読むと、古めかしい感があります。
 個人的には、内容本編よりも後期の「著者紹介」(p208)の方が興味深くありました。
 鬼城寺健先生は「北九州の小さな孤島で、悪霊の研究に余念がな」く、「多くの悪霊たちとも交際も永」いそうです。
 また、「最近では(…)みずから幽界往復を試みたが、九死に一生を得る事故にあい、未だに成功していない」とのこと。
 それが本当ならなかなか凄いことだと思いますが、まさか、三原一晃先生のように、子供相手にハッタリかましていたとか?!

・注1
 昔とった杵柄なのか、女性の描写よりも、むさ苦しいおっさんの描写の方が冴えてます。
 よく指摘される通り、月宮よしと先生(鬼城寺健先生)の描く女性は三白眼がきつ過ぎるのでありますが、本作品の聖子の母親は、眼鏡を外すと、意外と可愛い顔をしております。(たまにですが…。)

2016年11月23日 ページ作成・執筆

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