浜慎二「怨霊体育館」(1987年6月15日第1刷発行)
「新しく建てられた清心中学の体育館。
ある夜、中学校の生徒、岡部由美は電話で、バスケ部の先輩の小川淳に体育館に呼び出される。
その声に導かれるように、寝巻き姿にスリッパという格好で、由美は体育館に赴く。
そこには制服姿の小川淳がいて、「助けて」と言うと、二つの顔に身体を持ち上げられると、床に叩きつけられる。
額を割り、顔中血だらけの小川淳の身体は、床下から伸びてきた幾つもの手によって、消え失せるように引きずり込まれてしまった。
翌日、由美は小川淳がマンションから投身自殺をしたことを知る。小川淳が死んだのは、由美が体育館に呼び出された頃だった。
その夜、由美はまた、自分を体育館に呼ぶ声を聞く。
由美が体育館に向かうと、そこには由美の父と兄が立っていた。父と兄の顔に、昨日、小川淳の背後にいた二つの顔が張り付くと、二人の身体は宙に浮かび上がる。
しかし、途中で二人の身体は床に落ち、昨夜、小川淳を床下に引き込んだ手も二人には何もできなかった。
由美は、何が起こったのかわからない父と兄を連れて、家に帰る。
その次の日、由美は美術部の顧問である新美先生に相談する。新美は寺の長男で、僧侶としての経験があった。
新美は、体育館に現れた二つの顔は、体育館建設中に事故死した建設会社の社員であることを知る。
土曜日の夜、新美は由美と彼女の父との三人で体育館で御祓いを決行。
事故死した社員二人の霊は祓えたようだったが、由美は体育館の隅に大勢の骸骨となった死者の群れを視る。
新美による浄霊の後、体育館は一時、平穏を取り戻したかのように見えたが…」
なかなかいい線、いっていると思います。佳作でありましょう。
浜慎二先生の作品の中では割合ショック描写に重点を置いておりまして、子供の頃、読んだら、かなり怖かったのではないでしょうか?
私が子供の頃だったら、絶対タンスの後ろに封印してましたね。
平成27年3月9日 ページ作成・執筆