ムッシュー・田中「魔女がくる館@」(1979年1月15日1刷・1983年7月15日10刷発行)
「魔女がくる館A」(1981年8月15日1刷・1982年12月15日3刷発行)
「魔女がくる館B」(1982年1月15日1刷発行)
・「魔女がくる館@」
「ミッションスクール、聖心学園に通う北條未知子。
母親は早くに亡くなり、大きな邸で父親と婆やのお梅と共に暮らしていた。
母親の死因は明らかでなく、子供だった未知子に銀の十字架のネックレスを託した後に、死亡。
未知子の右手の人差し指の先には十字架の形をしたアザがあり、母親にも同じアザがついていたという。
7月7日の未知子の13歳の誕生日、彼女に差出人不明の絵が届けられる。
その絵は、サバト(魔女集会)を描いたもので、絵の中央の生贄となる女性は未知子にそっくりであった。
とりあえず、絵を部屋に飾るものの、未知子の人差し指のアザがうずくたびに、絵に怪異が起こる。
絵の人物や猫が目から血を流れ、絵に描かれたのとそっくりな猫が邸をうろつくようになる。
また、父親に紹介されてやって来た家庭教師の赤座魔理は、絵の中の魔女にそっくり。
未知子は、友人の石井浩二の協力を得て、絵の出所を突き止めようとする。
しかし、絵を発送した古美術商をようやく見つけるものの、彼は猫に噛み殺される。
古美術商の最期の言葉を頼りに、浩二はマリアの園修道院の青木神父にその絵を見せに行く。
青木神父が言うには、この絵は昔、悪魔崇拝者によって描かれたもので、天使抹殺の願いが込められているとのこと。
そして、未知子は、神がこの世に送り込んだ七人の「天使」のうちの一人なのだと話す。
その頃、未知子は赤座魔理によって襲われ、失神したところを魔女達に車で連れ去られてしまう。
13日の金曜日のサバトで彼女が生贄とされることを知り、浩二と青木神父は未知子を救うべく奔走するのだが…」
・「魔女がくる館A」
「魔女達の首領を倒してから一年。
両親を亡くした未知子の肉親は、三つ違いの姉のみ。
しかし、彼女は千葉県のミッションスクールの寮に入っていたが、父親の死後、連絡が取れないなっていた。
ある日、未知子の邸に、瀕死の娘が訪れる。
奈良みずえと名乗る娘は、未知子に小箱を託すと、死亡。
みずえの人差し指の先にも十字架のアザがあった。
小箱の中には、姉が身に付けていた金の十字架のネックレスと、姉のものらしき左手首。
その十字架を手に入れた時から、未知子の周囲で怪しい影が再びうごめき始める。
十字架の件で訪ねてきた灰方絹代は、詳しいことを知っている様子だったが、それを告げる前に、赤座魔理に殺される。
未知子と石井浩二は十字架を調べるうちに、中に隠された手紙を見つけ出す。
手紙から館山の赤蛇館に行方不明の姉の手がかりがあると察した未知子は、友人達と共に館山に向かう。
しかし、彼らに悪魔に憑りつかれた青木神父達の魔手が伸びる…」
・「魔女がくる館B」
「赤蛇館を訪れた美知子と浩二は、ようやく姉と再会。
しかし、姉は顔半分を髪で隠し、何かに怯えている様子であった。
また、廊下の奥には「あかずの間」があり、決して覗かないよう言い渡されていた。
だが、夜ごと、その部屋からは奇怪な呻き声が聞こえる。
館の秘密を暴こうと、未知子と浩二はその部屋を調べに入る。
そこで、彼らが目にしたのは、人間と動物が組み合わさった獣人であった。
悪魔崇拝者達は、いつか来たる悪魔が支配する世のために、使い魔を開発しようとしていたのである。
未知子達は生体解剖のために捕らえられ、十字指を持つ二人の少女と共に監禁される。
彼らの運命は…?
そして、館の主人、「影」の正体とは…?」
約三年に渡って、描かれた「魔女がくる館」は、ムッシュー・田中先生のレモンコミックスでの代表作でありましょう。
巻を追う毎にちょっとずつ尻すぼみになっている感はありますが、それでも、各巻ごとに趣向を凝らした、このテンションの高さは大したものです。
ストーリーも描写も「こけおどし上等」とばかり派手かつ大袈裟で、ヒロインはケバケバ(たまにエロエロ)とジャケット通りの「ゲテモノ」怪奇マンガでして、逆に、夏のそよ風並に清々しく感じます。
また、「花っ平バズーカ」ばりに十字指の先から光線を出しまくるヒロインはなかなかキマっており、カッコいいです。(もっとガンガン使えば良いように思いますが、そうすると一巻ぐらいで終わるかも。)
ただ、全体的に派手で仰々しいわりに、どこか「まったり」(「緊張感に欠ける」とも言います)としており、そこが「味」だと私は考えております。
個人的なお気に入りは、二巻で、未知子に関わる人間が片っ端から「なさけ・むよう」に悪魔の手先に殺されていくところです。
小学生か中学生の頃観た「オーメン2」「オーメン3」(注1)を思い出しました。
・注1
大昔に観たきりなので、細かい内容は覚えておりませんが、「オーメン2」は「ダミアンが悪魔の子であることを知った人々が次々と悲惨な死を遂げる」、「オーメン3」は「ダミアンをやっつけようとする、神からの使いが片っ端から返り討ち」だったように記憶しております。
両作品共、残酷描写がかなりエグく、幾つかのシーンは未だに脳裏に刻まれております。
観返したいのですが、ショボかったら、イヤだな〜。
・備考
「魔女がくる館A」背表紙色褪せ。
2017年6月30日 ページ作成・執筆