いけうち誠一・漫画/中岡俊哉・原作「マクンバ 呪い」
(1979年1月15日第一刷・1980年12月15日第五刷発行)

・「第一話 よみがえる呪い」
「東京都下青木中学。
 創立から五十年を過ぎ、校長は古い講堂を取り壊し、新しい体育館の建設に着手する。
 だが、この講堂は呪われていると噂されていた。
 取り壊しが進むにつれ、噂は広がり、学校を休む者が増え、遂に、作業員が工事中に事故死する。
 ある夜、三年生の国府田妙子は奇怪な体験をする。
 彼女を呼ぶ声が聞こえ、目を覚ますと、三つ目の悪神の親子を描いた、血の色をした絵が天井から下がっていた。
 悪神は、講堂の呪いは彼女の呪いだと言い、「のろえよ」「ひとびとをくるしめよ」と告げる。
 更に、彼女の親友の山口ノン子がたった数日で老婆になってしまう。
 妙子は校長に講堂について尋ねると、講堂の建つ以前に輪廻寺という小さな寺があったと言う。
 その寺には妙子が夜中に目にした絵が伝えられていた。
 その絵は悪霊を封じた絵で、絵を寺に封じたのは国府田源三郎という武士であった。
 どうやら呪いは彼女の先祖と関わりがあるようなのだが…」

・「第二話 狂恋の黒ネコ」
「黒田幸夫はブサイクであったが、美人の西条亜希子に心底惚れていた。
 しかし、亜希子には彼氏がおり、彼は鼻もひっかけられない。
 夢でお告げを受け、彼は講堂跡から悪神の絵を捜し出す。
 家に持ち帰る時、一匹の黒猫がついて来て、以来、彼の部屋に棲みつくようになる。
 彼は絵を部屋に飾り、西条亜希子が自分のものになるよう祈る。
 すると、黒猫がキューピッド代わりになり、彼と亜希子の仲は急接近して、念願のカップルとなる。
 だが、次第に彼は亜希子の変化に気付くようになる。
 顔つきがきつく、髪の毛もボサボサで、彼の気持ちは急速に冷め、彼女と別れる。
 それから数日後、黒田の家の周辺では「猫の祟り」が噂されるようになり…」

・「第三話 悲劇のシンデレラ」
「友子は女子大学生。
 彼女は富豪の息子と結婚する予定であった。
 だが、彼女はある男に乱暴されそうになり、彼を殺してしまう。
 死体の身元を隠すため、アザのある左耳を切り取り、呆然自失で歩いていた時、彼女は悪神の絵を手に入れる。
 死体がいつ発見されるのか怯えながら、彼女は富豪の息子と結婚。
 式の最中、突如、新郎の左耳がちぎれて落ちる。
 それだけでなく、殺した男の霊は度々彼女の前に現れ…」

・「第四話 恐山に悪霊を見た」
「絵を追い、妙子は恐山に向かう。
 いたこに林崎の五智如来に行くよう言われるが、その五智如来の台座には悪神と同じ絵が描かれていた。
 そこで彼女は彼女の先祖がした非道な行いを知る。
 そして、また新たな犠牲者が出て、遂に彼女は絵を手に入れる。
 だが、それは呪いが彼女の家族に及ぶということであった…」

・「第五話 恐怖の落穂村」
「妙子と友人達は悪神の絵を調べる。
 右上に文字があり、専門家に見てもらうと、これは「呪文(のろい文)」だという。
 そして、描いた人は「ちほ」という名らしい。
 これだけの事実では何もわからないに等しく、調査は行き詰まるが、ある日、友人の一人が「落穂村の祟り」のニュースを持ってくる。
 この村ができる前、この土地は「血穂野」と呼ばれていたと知り、妙子たちは落穂村のある信州へと向かう。
 彼らの前に、東京から大学生が二人来ており、彼らの目的は、祟りのあるほこらを調べることであった。
 祟りは本当にあるのだろうか…?
 そして、妙子の身にも呪いが迫る…」

・「完結編 消えゆく呪い」
「全てを知った今、妙子は呪われた地の宿命を全て引き受ける覚悟を決める。
 妙子は熱で身体を蝕まれ、東京の彼女の両親もまた凄まじい熱さに襲われていた。
 だが、不思議な縁により、呪う者と呪われる者の子孫がここで巡り合っていた。
 数百年に及ぶ怨念の行方とは…?」

 いけうち誠一先生と故・中岡俊哉氏がタッグを組んだオカルトものの名作です。
 内容がバラエティに富んでいるだけでなく、ストーリーの構成にメリハリが効いていて、実に面白いです。
 個人的には、猫女の出てくる「狂恋の黒ネコ」がお気に入りです。
 なかなかワイルドなお嬢さんで、やはり、猫娘はこうでなくっちゃね。

2024年1月5・6日 ページ作成・執筆

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