安田タツ夫「恐怖!人魚の子守唄」(1986年8月15日第1刷発行)

「S県F市。
 中学生活の最後の夏休みを記念して、担任の知り合いの別荘で、海辺のバカンスを過ごす、中学生達。
 別荘には、中学生の男子四人、女子三人、そして、担任の武下先生と管理人の老婆。
 雷雨の夜、どこからか現れた、謎の女が番犬を斧で殺害、駆け付けた主人公達にも襲いかかる。
 女は雷に打たれ、焼死するが、その身体は鱗に覆われていた。
 突如、死体の背中から、赤ん坊と半魚人の合いの子のようなモンスターが跳び出し、マドンナと言われている女生徒の腕に噛みつく。
 モンスターは退治したものの、電話が断線しており、武下先生は警察と医者を呼びに単身出かける。
 電気を絶たれ、ただただ先生の帰還を生徒達は待つが、一人また一人とモンスターの餌食となっていく。
 一方、武下先生は途中、モンスターの群れに襲われ、町はずれの岬の突端にある洋館に逃げ込む。
 そこは、遺伝子工学の権威と言われながら、学会を追われた老科学者の屋敷であった。
 武下は、そこでモンスターの正体を知る。
 モンスターは、老科学者が堕胎児の遺伝子を操作して、新人類として創り上げた「種」であった。
 そして、モンスターにとって男性は「エサ」であり、女性は「繁殖」のための道具だという。
 生き残った主人公達の運命や如何に…?」

 面白いです。グロ描写をガンガン打ち出すタイプのマンガで、私の好みです。
 安田タツ夫先生は、ダイナミック・プロ関連の御方で、絵柄も(永井豪先生ライクで)安定しております。
 ストーリーは、当時のホラー映画の影響が非常に大きいです。
 元ネタは恐らく、「モンスター・パニック」(「Humanoids from the deep」/米/1980年/製作はやっぱりロジャー・コーマン)だと推測しております。(未見です。)
 また、頭に包丁を叩き込む描写(「13日の金曜日」等)や、顔にモンスターが貼り付く描写(「エイリアン」)、腕が口になる描写(「遊星からの物体X」?)と、様々な映画の影響が散見されるのが、その当時にホラー映画マニアのクソガキだった筆者からすると、嬉しい限り。
 それにしても、気になって仕方ないのが、最後まで生き残る中に、主人公とヒロインの二人以外に、滑稽な役どころのぽっちゃり系の女の子がいることです。
 生き残ったらあかん!!なんてことはありませんが、もしかして、安田タツ夫先生、殺し損ねたとか?!

2016年11月14日 ページ作成・執筆

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