斉藤栄一「私の彼は吸血鬼」(1986年4月15日第1刷発行)
「弓道部に所属する佐伯麗子の中学校に転校してきた、タツルという男子生徒。
寡黙で、ハンサム、スポーツ万能、そして、どこか影のある雰囲気に女子生徒達は夢中。
しかし、彼につきまとっていた女生徒達が何者かに血を吸われ、瀕死となる事件が続発する。
その第一発見者となった麗子は、木の陰に姿を隠すタツルを目にしてしまう。
麗子は、事件の鍵を握るのが彼と知りつつも、惹かれていく。
吸血鬼による事件は、開発工事が行われている降神山の付近で起きていた。
その周囲では厳戒体制がとられるが、夕方、帰宅した麗子達を吸血鬼が襲撃する。
友人、教師、両親までも血を吸われる中、麗子を救ったのがタツルであった。
タツルの正体を知るために、麗子は吸血鬼達の後を追う。
すると、彼らは校舎裏の降神山麓の工事現場で姿を消してしまう。
姿を消す直前、タツルは麗子に明日の昼にここに来るよう告げる。
翌日、麗子が指定された時間に工事現場を訪れると、彼女は地面に吸い込まれてしまう。
気が付くと、麗子は、タツルと共に巨大なUFOの中にいた。
ドームの中央にはスリープ装置があり、その中で吸血鬼達が眠りに就いていた。
タツルは、自分達がムー大陸の生き残りであることを麗子に明かす。
吸血鬼達の正体とは…?」
後半の展開が荒唐無稽であります。
そこを敢えて目をつぶると、淡い悲恋の物語でして、なかなかに味わい深いです。
個人的には、読者を子供に据えた怪奇マンガとしての内容と、子供向け漫画で鍛えた絵柄がマッチしていて、いいと思います。
温かく柔らかいタッチの絵ですが、ちゃんと怪奇マンガに仕立ててあるのは、さすがベテランであります。
・備考
背表紙色褪せ。
2016年11月20日 ページ作成・執筆