森由岐子「幽霊学校の少女A」(1986年12月15日第1刷発行)

「桃山学院中等部二年の池上由香はある日、突然、池で入水自殺をする。
 二歳年上の姉、ミチは、由香の日記から、彼女がAという頭文字の人物とその取り巻きから壮絶ないじめを受けていたことを知る。
 調べると、由香の周囲には候補となる人物が何人かいたが、最も疑わしいのは、つっぱりグループのリーダー、菅沼亜鈴。
 しかし、彼女は、由香をいじめたことはないと否定する。
 それにもめげずに、根気よく聞き込みを続けるうちに、由香にボーイフレンドがいたことが判明する。
 彼の名は詮房(あきふさ)豊、彼も頭文字がAであった。
 そんな時、あるきっかけから、ミチは、赤羽光という青年と知り合い、彼と共に妹の死について調べることとなる。
 赤羽光の父親は赤羽産業の社長であり、ミチの母親はそこの経理部で働いていた。
 だが、何者かに駅のホームから線路に突き落とされて以来、ミチの周囲では気味のわるいことが続発する。
 更に、学校では、由香の幽霊が出るという噂が広がり、幽霊の目撃情報が取り沙汰されるようになる。
 そして、遂に、由香をいじめた犯人が名乗り出るのだが、いじめを指示した何者かの存在が明らかとなり、事態は思わぬ方向へ進んでいく…」

 ホラーというよりは、犯人捜しのミステリーです。
 ぶっちゃけ、幽霊が出るというホラー的要素はない方がすっきりしたかもしれません。
 ミステリーとしては、大きな破綻はなく、安心して読めます。
 ただし、真犯人は全く予想の付かない人物で、「ノックスの十戒」の「1.犯人は物語の当初に登場していなければならない」(wikipediaより引用)の点からすると、納得できない人もいるかも…。

2019年1月25日 ページ作成・執筆

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