浜慎二「夜、教室にうかぶ首」(1985年7月15日第1刷・1986年7月15日第3刷発行)
「中原則子の通う小学校では、児童会長の選挙運動が真っ盛り。
クラスの代表として立候補した則子は、友人達の過剰な選挙運動に戸惑いながらも、満更ではない様子。
そろばん塾からの帰り道、則子は公園の木の枝に顔らしき影を見る。
そして、家に帰った時には、二つの手が、二階の部屋の窓を外から開けようとしていた。
則子が家族に話しても、誰も信用してくれない。
次の夜、則子の選挙活動に積極的だった男子生徒が、「手」に首を絞められ、重傷。
その次の夜には、則子の親友ミドリの飼っていた犬が、「手」にはらわたを引きずり出されて殺される事件が起きる。
事件の裏には、会長選への候補者選びで則子に敗れた日景真由子の存在があるようだが真相は如何に?
そして、「手」の正体とは…」
生霊に小泉八雲の「ろくろ首」を絡めたもので、なかなか面白いと思います。
学校での生徒達の描写も活き活きしていて、素晴らしい!! 娘さんから話を聞いて、参考にしたものなのでしょうか? 細かいところまで描写が行き届いています。
少々残念なのは、キー・パーソンである日景真由子の描写があっさりし過ぎていることでしょうか。友人の仮面をかぶりながら、その裏で嫉妬と憎悪を燃やす真由子の描写をもう少し増やすと、ストーリーに説得力が増したかもしれません。
あと、真由子の伯父の正三ももっとストーリーに絡ませた方が良かったと思います。そうすれば、強引な感じのあるラストが多少は自然になったかもしれません。
と、くどくど個人的な不満を書きましたが、良作だと思います。
正統派の怪奇マンガが好きな方にはお勧めしますが、動物好きにはお勧めはできません。
相変わらず、はらわたを晒した動物の死体の描写があります…。
平成27年3月5日 ページ作成・執筆