竜介龍司「もう逃げられない!」(1987年7月15日第1刷発行)
「風見鉄也と本郷理香は幼馴染の仲であったが、互いが気になるお年頃。
ある日、高校の校庭が突如陥没し、そこへ古墳の石室が現れる。
中には棺が三つ並び、真ん中の棺には人骨が横たわっていた。
大学の先生に見てもらうと、石室の壁に書かれてある文字は、アトランティアという古代文字であった。
そして、アトランティアは、一説によると、アトランティスで使われていた文字らしい。
ある朝、古墳に興味を持った鉄也は、理香を連れて、その石室を見に行く。
理香が石室の壁に触れると、理香の脳裏に、文明の発達した都市の映像、続いて、ゾンビの群れの映像がひらめく。
理香はショックで気絶してしまうが、やがて、彼女は自分の過去、更には、真実の自分を知ることとなる。
彼女は一体どこからやって来たのであろうか…?
そして、彼女の周囲をうろつく、軍人姿の男を頭とする、ゾンビ軍団の正体とは…?」
当時22歳だった竜介龍司先生入魂の一冊…
…だったのかもしれませんが、三流ラブコメ・マンガを思わせる、スッカスッカな絵柄が読む気を減退させます。
ただし、そこは怪奇マンガですので、ゾンビやモンスターの描写になると、俄然、描き込みが増してます。
惜しむらくは、頑張って描き込んでも、あまりに雑で、「リアルさ」にはつながっていない模様です。
ストーリーはまあまあ面白いので、作者にもう少しストロング・スタイルな画力があれば…と思わずにいられません。
でも、まあ、個人的には、80年代のホラー映画の影響をダイレクトに受けた描写の数々に懐かしさを覚えました。(元ネタ探しをするのも一興です。)
あと、p137の、狂った考古学者がチェーンソーを振り回しながら、「みんな死ぬのね」とシャウトする描写が何度見ても、微笑ましいです。
んで、つまづいて、すっ転んで、自分の腹部をチェーンソーで貫いてしまうという、お茶目さんです。
・備考
背表紙色褪せ。
2017年6月1日 ページ作成・執筆